マタチッチ指揮チェコ・フィルの演奏で、ブルックナーの交響曲5番を聴く(1970年11月、プラハ、芸術家の家での録音)。
これは、豪壮で、かつパンチのきいた演奏。
この曲はブルックナーの交響曲のなかでは8番と並ぶ大曲。マタチッチは8番でもNHK交響楽団と名演奏を残したように、ここでも音楽史上最大規模であるところの曲をわし掴みにして、スケールの大きな演奏を繰り広げている。
チェコ・フィルもいい。しなやかな弦楽器、素敵なヴィブラートをきかせるホルンを始め、クラリネット、フルートなど、どのパートも好調。
1楽章の9:50あたりで、ピアノで弦楽器とホルンが奏されるところは鳥肌モノ。フォルテッシモの個所も、各楽器がうまく溶け合っていて、美しい。トランペットの音はキツすぎない。ラストは快速、ブッチギリ。
2楽章はアダージョ。1楽章と同様、弦のピチカートで始まる。オーボエの毅然とした音は夢に見る野武士のような趣。弦楽器による副主題は、厚みがたっぷりとしており、雄大。
3楽章スケルツォは豪快。ブラスを容赦なくバリバリと鳴らす。弦の動きは細かいが緻密。トリオはユーモラス。
4楽章はアダージョからアレグロ、ソナタ形式にフーガが組み込まれており、規模が大きい。
ここも出だしはピチカート、1楽章がほぼそのまま再帰されている。主部にはいると弦楽器によるフーガがあらわれる。このあたりから音楽はぐんぐんと高揚していく。どの音もしっかりと大きくて骨太。
ラストにはシンバルを何度か叩かせ(ライナー・ノートによれば、一部シャルク版を採用しているとのこと)、やや派手な味付けにしている。
このあたりのセンスは、マタチッチが19世紀の人だからかな。
駐車場。
PR