L・プライスの題名役、カラヤン指揮ウイーン・フィル他の演奏で、プッチーニの「トスカ」を聴きました(1962年9月、ウイーン、ゾフィエンザールでの録音)。
リコーダー練習の合間をぬって。
この曲は多分に漏れず、カラスとサーバタのディスクがとても印象に残っています。このふたりの鬼気迫った演奏に加え、ゴッピの存在感ときたら!
なので、これを知ってしまうと他の演奏がいささか生ぬるく聴こえてしまうのが困りもの。
とは言え、プライスが歌う本ディスクも、これはこれで魅力的でした。
プライスの歌唱は堂々たるもの。声そのものに輝かしさと艶っぽさが溶け合っていて耳に心地いいし、劇的臨場感もある。くだんの「歌に生き、恋に生き」は、声量豊かでなめらか、そしてスケールが大きい。
タディはゴッピみたいなドスは薄いものの、声のまろやかさで聴かせる。歌いまわしはところどころ、F=ディースカウに似ているがクセは少ない。この警視総監は上品。インテリヤクザというより、ホントにいい人っぽい(笑)。
ディ・ステファノは上述のサーバタ盤(1953年)でも歌っています。なのでこの録音当時、すでに峠を越えていたとの見かたがあるようで、そう云われてみると、あるいは云われなくても「妙なる調和」以下、高い音が少し苦しそう。音源だけだと、そこはごまかせない。でも、いい雰囲気を纏っていて、そこは千両役者だと思う。
カラヤン。冒頭からエンジン全開の音世界を繰り広げます。とりわけ、トスカがスカルピアを殺害するシーンにおいてのオケの鳴りっぷりは豪壮と言うべきもの。筋書と相まって、打ち震えます。3幕における牧童の伴奏は、夢のように美しい。
レオンティーン・プライス(トスカ)
ジュゼッペ・ディ・ステファノ(カヴァラドッシ)
ジュゼッペ・タデイ(警視総監)
カルロ・カーヴァ(アンジェロッティ)
フェルナンド・コレナ(堂守)
ピエロ・デ・パルマ(スポレッタ)、他
ウィーン国立歌劇場合唱団
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