パヴァロッティの題名役、ムーティ指揮ミラノ・スカラ座他の演奏で、ヴェルディの「ドン・カルロ」(4幕版)を聴きました(1992年12月、ミラノ・スカラ座でのライヴ録音)。
「ドン・カルロ」はヴェルディのオペラのなかで最も好きな作品のひとつ。ラボー、クリストフ、コッソットを擁するサンティーニ盤や、フランス語のパッパーノ盤あたりを気に入っているけれど、他にも気になるディスクがいくつかあり、これから少しずつ聴いていこうかと。
ムーティ盤はパヴァロッティに期待して購入。小春日和のようにキリッとした肌ざわりがありつつ、血気みなぎりヒロイックでもある。素晴らしい。
しかしながら、本盤はフィリッポ役レイミーの存在感が大きいと感じられます。独特のくぐもった声には重量感があり、まるで地響きをたてているようで、すきっ腹にズンズン鼓動します。「彼女は私を愛したことがない」は名唱。そして、大審問官のくだりは、筋書通りに荘重。
コーニのロドリーゴもいい。球筋がよくて制球力が抜群のピッチャーのように安定していて、小気味がよい。
このオペラを聴くたびに感じるのは、エボリの可愛らしさ。嫉妬のあまりに相手を貶めようと画策するところ、素敵すぎて萌えます(笑)。「ヴェールの歌」はもう少し激しい方が好みかな。
デッシーのエリザベッタは、潤いがたっぷりとあり、透明度が高い声。地位はあるけれど幸薄い女を可憐に歌っていて素晴らしい。
ムーティは気迫がこもっており、オケも好調。才気煥発な伴奏と言えるでしょう。
ルチアーノ・パヴァロッティ(T:ドン・カルロ)
サムエル・レイミー(Bs:フィリッポ2世)
ダニエッラ・デッシー(S:エリザベッタ)
ルチアナ・ディンティーノ(Ms:エボリ公女)
パオロ・コーニ(Br:ロドリーゴ)
アレクサンダー・アニシモフ(Bs:大審問官)
マリオ・ボロネージ(T:使者)
オルフェオ・ザネッティ(T:レルマ伯爵)
ヌッチ・フォーチレ(S:天の声)
PR