ブルックナー 交響曲第4番 テンシュテット指揮ロンドン・フィル午前中に所用があったので会社を休み、午後は花見。
近所の、柳瀬川の桜並木。
昨日の強風で少し散り始めているものの、まだ満開に近い。
平日にも関わらずけっこうな賑わい。
世間には私と同じヒマ人が多いようだ。
テンシュテットのブルックナー。
2枚組で1050円。10枚で5000円のCDはざらにあるけれど、日本盤でこの価格は珍しい。
さすが(?)TDK。なぜ1枚物と値段が同じなのかよくわからないが、軒並み値上げの風潮があるなかでCDだけはそんなこと関係ないといわんばかりに安い。
小麦が高くてCDが安いことがいいことなのかどうかわからない。
趣味の世界は、だんだん手に入れやすくなっている。それでも人件費は下がらないからコンサートの値段は年々着実に上がってきている。国産の演奏家を高い値段で聴くのであれば、CDで昔の海外の演奏を聴くほうが好きなので、CD買いに拍車がかかる一方だ。
テンシュテットのブルックナー4番を、確かベルリン・フィルとスタジオ録音したものを前に聴いた記憶があるのだが、内容はまったく定かでない。定かでないということは、演奏をあまり気にいらなかったからであろう。
さらに、このCDに収録されているロンドン・フィルの公演、実際に聴いているのだけれど、このコンサートのブルックナーも、実は記憶に乏しいのだった。
それで、このCDを買うことに少し躊躇があったのだが、生で聴いたコンサートがCD化されることはなかなかないことであるし安価なので買った次第。
20数年ぶりに聴いてみる。
簡易保険ホールのややデッドな響きのせいか、うるおいに欠けた音質であるが、その反面、個々の奏者が聴衆を前にして弾いている緊張感が生々しく伝わる。
録音技術の粋をつくしてデコレートした音ではなく、乾いたリアルな音だ。
ライナー・ノーツで山崎浩太郎がこの演奏を「激しく横に揺れ動き、うねり、猛り狂うブルックナー」と評しているが、ちょっと大袈裟だと思う。テンポの揺れはあるものの、がっしりと堅牢な構築美を感じさせるもので、適度に熱のあるブルックナーではあるけれど、どちらかといえば折り目の正しい演奏である。
それにしてもロンドン・フィルはすばらしい。乾いたホールにも関わらず、流れの良い有機的な響きを奏でてやまない。ひとつひとつの音に真実味を感じる(コーホー氏ではないが)。
彼らの演奏に、音楽に対する熱い情熱とひたむきさを感じないわけにはいかないノダ。
1984年4月11日、東京簡易保険ホール。
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