ショスタコーヴィチ 交響曲全集 バルシャイ指揮 ケルン放送饗マーラー・ブームのときに、「次はショスタコーヴィチの時代だ」なんて言われていたけれど、なかなかその時代は来ない。
あれは、インバルがマーラーに続いてショスタコーヴィチを始めたから言い始めたことじゃないかと思う。
DENONのまわしものが言い始めたのかと勘ぐってしまう(なんて、DENONはいい会社デス)。
ブームというほどではなかったけど、バルシャイの全集が出たときは少し盛り上がった。
どちらかといえば、内容よりも価格で話題になったものだ。
でも、内容も悪くない。
悪くないといいつつ、一昨年に4番を聴いていらいご無沙汰していた。
そこで、10番を聴く。
長すぎず短すぎず。
この10番は、思いのほか軽い9番を発表してスターリンに怒られたので、初演するまでに長い歳月がかかっている。
これは作曲者の意図なのか周囲の状況によるものか。
この10番は、軽妙な9番と比べて重々しさが勝る音楽になっている。
ショスタコーヴィチの音楽は軽かろうと重かろうと、政府からの弾圧だとか反抗だとか諧謔だとか言われるけれど、ほんとうのところなにを考えて作っていたのか、わかったものではない。
どの交響曲もみんな似たように聴こえるのは、作曲家の個性というものか。
バルシャイとケルン放送饗は、安定感抜群。どの曲をきいてもアンサンブルの乱れとか音程をはずしているところはない。メリハリも適度についているし、適度にダイナミックだ。バランスがとてもいい。
1996年10月、ケルンでの録音。
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