今週火曜日の朝日新聞朝刊に山本昌の記事が載っていた。面白いのでいくつか引用する。
彼の投球フォームはわりと独特だが、スポーツ科学的には「すべてが論理的に納得できるフォーム」なのだという。
ワインド・アップでは両腕を高々と上げる。胸を張り背筋を伸ばすことで肩の動きをよくする効果がある。
左腕を振り上げるとき、大きく上に引き上げる。これには「バネのように腱が強く伸びる分、元に戻ろうとする力も強くなる」という効果がある。
右ひざが外に開く。「ヒザが外向きになるから、体をねじりやすい。だから腕が振れてくる」。
BSが2007年に放送した野球科学番組で、投球の1秒間の回転数を測定した。当時26歳の松坂は41、同じ齢の藤川は45に対し、当時41歳の山本は52回転だった。当然ながら回転が多いほど、揚力は強まる。
2013年の交流戦で山本と対戦した前年首位打者の角中は述懐している。130キロ半ばの球を「150キロ近く感じた」と。
史上最高齢勝利だけではなく、ローテ入りしてほしいものである。
マゼール指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、ブラームスの交響曲1番を聴く。
70年代のクリーヴランドは、セル時代の色を多く残しているとよく言われる。昨年から今年にかけてマゼール/クリーヴランドの演奏を継続して聴いていてぼんやりとわかったことは、マゼールが意図的にそういう方向によせているからなのではないかということ。
セルは室内楽的な響きを目指したということだが、金管を強く鳴らせたり、弦をガリガリと弾かせたりと、わりとダイナミックなのだ。それに比べると、マゼールの演奏はより室内楽的な響きを鳴らせることに執心したように思える。ミクロとか箱庭とか、そんな形容をしてみたくなる。
この演奏もそう。ブラームスから、重厚長大な要素を取り除いてみました的な演奏である。
スリムな体型は、最近はやりのピリオド奏法を思わせないでもない。ただ、筋肉質ではあるが普通にヴィブラートはかかっているから、味は濃い目だ。というかやせぎすじゃない。
1楽章の提示部を反復しているから、気持ちが深くはいっているようだ。なぜならこの当時、反復はあまりやられなかったはずだから。
終楽章は序奏にたっぷりと時間をかけているせいもあり、主題の速さにいささか面食らう。このあたりは「室内楽的」を目指すのであれば自然なふるまい、ということか。
ラスト近くで弦の音程が狂うが、おかまいなしに流れる。ファンファーレに突入するところでトロンボーンが咆哮する。これは効果的。
セッション録音にしては珍しい瑕疵があるものの、この曲を久しぶりに聴いたせいか、感動した。
1975年8月、クリーヴランド、メイソニック・オーディトリアムでの録音。
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