レーゼルのピアノで、ブラームスの「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」を聴く(1973年、ドレスデン、ルカ教会での録音)。
ペーター・レーゼルは、現存する最高のピアニストのひとり。それは、昨年に紀尾井ホールで聴いたリサイタルで確信した。
テクニックの冴え、奥行きの深さ、透き通る音色、絶妙なニュアンスのタッチ、において。ほぼ同年代のポリーニやアルゲリッチよりも好み。
この演奏は、彼が20歳代後半のもの。
とても瑞々しいし、切れ味もいい。そのあたりのスタイルは、昨年に聴いたものと変わっていないような気がする。すでに、完成されている感がある。
ブラームスのこの曲は、近代音楽の歴史上に燦然と輝く名曲。話によれば、「ゴルトベルク」と「交響練習曲」と並んで3大変奏曲と云うそうだ。まあ、それらの曲と比べたら、いい勝負か。
この3曲は、「変奏曲」というくくりを超えて、「鍵盤楽器による音楽」のジャンルに於いても、最高峰の位置にいるだろうとは思う。
名曲だから、名演も多い。聴いた限りだと、ナット、ゼルキン、カッチェン、ゲルバー、シフ、ペライア、オピッツが素晴らしい。
レーゼルの演奏は、それらに劣らない、鮮烈なピアノだと感じないわけにいかない。
屋根の上のパーティ。
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