バルトーク「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」 ブーレーズ指揮BBC交響楽団養老孟司の「読まない力」を読む。
政治嫌いと言っておきながら、政治ネタがけっこう多い。でも、この本の読みどころは環境や自然に関する寸言であるように思う。
『子どもは自然である。意識的に設計したものではないからである。戦後の都市化の過程で、自然は徹底的に破壊されてきた。だから小子化なのである。大切に育てたって、どんなドラ息子になるか、それがわからない。
そんなアテにならないもの、だれが生むか。そんなことをするくらいなら、「ああすれば、こうなる」ものを選ぶ。それが多くの大人の暗黙の合意となった。だから子育てではなく、金儲けに狂奔するのであろう。嫌な世の中である。』
寸言というかグチであろうか。同感ではある。
バルトークの弦チェレ、出会いはキューブリックの『シャイニング』だった。
これを観たときは、クラシック音楽というよりも、この映画のために作られた曲かと思った。
静謐な映像と、精密だけどおどろおどろしい音楽との相性は抜群で、どちらが欠けてもこの映画は成立しない、そのくらいよく合っていたのだ。
怖いという感じはしなかった。むしろ、美しい映像と研ぎ澄まされた音楽を堪能したものだ。
これがバルトークの作曲によるものと知ったのは、このすぐ後だった。
このブーレーズによる演奏、とても乾いている。この曲においては打楽器が重要な役割を占めるけれど、BBC饗の、バケツの底のようなティンパニの音が印象的だ。
ひんやりとした手触りであって、なんとも素朴な響き。
手作りといった感じであり、音楽そのものは厳しいものがあるものの、いま聴くと、どこか牧歌的な演奏でもある。
1967年の録音。
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