シューマン「歌曲集」 ルチア・ポップ(s) ジェフリー・パーソンズ(Pf)和田秀樹の「人は『感情』から老化する」を読む。
40を過ぎると、前頭葉が縮まってくるらしい。これにより、だんだん好奇心がなくなっていき、なにごとも億劫になるのだという。
人生経験によって蓄積された知能を「結晶性知能」という。つまり、刺激に慣れてしまうということであり、ものごとに対する感心が薄くなってしまうのだ。
だから、歳をとっても強い刺激を求めていけばいい、という。
「ニュースを聞いたときの反応や、会話の中に『そりゃ、そうだよ』という言葉が増えてきたら要注意だ」
いるなあ、こういうヒト。などといいつつ、身に覚えもある。要注意である。
ポップのこのCD、「女の愛と生涯」がメインになっているが、今日はそのほかの歌曲を聴いた。
もう春だ op.79-24
春のよろこび op.125-5
春の挨拶 op.79-4
ゆきのはな op.79-27
はじめての緑 35-4
わたしの庭 op.77-2
ばらよ、かわいいばらよ! op.89-6
愛らしく、やさしいばらやミルテで op.24-9
ミニョン op.79-29
わたしに手をのばして、ああ雲よ op.104-5
どれもいい曲。「愛らしく、やさしいばらやミルテで」は昔から好きな曲。大甘の砂糖菓子。若い方の「リーダークライス」に含まれていて、シュライアーによる歌を気に入っていた。
ポップの細く伸びやかでエロチックな声にもよく合っているように思う。だけど、もっとよいと思ったのは「ミニョン」。
シューマンの憧れ、希望、不安が色濃く描かれていて、聴き応えがありすぎる。そしてポップの声はシューマンの心地のようにほんの少し影がさしていて、ドラマティックですばらしい。
「ごぞんじですか、レモンの花咲く国、
濃い葉陰にはオレンジが実り、
青い空にはさわやかな風が流れ、
ミルテの樹は静かに、月桂樹は高くたたずまう国」
ゲーテでなくとも、行ってみたいものだ。
パーソンズのピアノはいつも通り快調。これ以上望むものは見当たらない。
1980年5月、バイエルンでの録音。
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