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フィルクスニーのドヴォルザーク「ピアノ協奏曲ト短調」

2007.07.01 - ドヴォルザーク
dovorak

ドヴォルザーク ピアノ協奏曲 フィルクスニー(Pf) ノイマン指揮チェコ・フィル

おもむろにNHK-FMを聴き始めた。オーケストラの音あわせかと思っていたら、様子が違っていて、どうも本番の演奏に入っているようだと気付く。なんともとりとめのない音の羅列は20世紀の音楽だと踏んでいたところ、妙にとっつきやすいメロディーがあらわれる。弦楽器は古楽器であり、ティンパニーも昔風の音だ。ブリュッヘンの音を思い起こさせる。
となると、古典派以前の音楽なのだろうかと想像するが、それにしては音がごちゃごちゃとしていて近現代風で、今まで聴いたことのない音楽だ。
となると、もしかしたら、20世紀の音楽を古楽器で演奏するという、時代考証を抜きにした全く新しい試みなのかと思い、わくわくしてくる。などと考えていたら、金管楽器とティンパニーが華やかに曲を締めくくっていた。
解説を聞くと、シューベルトの「レンダリング」。ベリオ編曲だという。なんだこれは。後で調べたところによれば、ベリオが試みたシューベルトの交響曲ニ長調の補筆であり、1989年に最終的に自分の様式で完成させた曲であるらしい。いくつか録音はあるが、古楽器で演奏されるのはきわめて珍しいとか。
演奏家は当たっていた。私でも当てられるほど、ブリュッヘンの個性は強いということか。しかしこうして目隠しで知らない音楽を聴くと、いろいろ想像が溢れてきて楽しい。ことに古典派以前の曲を近現代の人が編曲したりすると、もうまるで時代がわからなくなる。
この原曲については知らなかったので、まるで現代に作られた音楽のように新鮮に聴こえたのが面白い。ラジオの魅力である。


勝手にドヴォルザークの日


ドヴォルザークのピアノ協奏曲は、個人的に数年前にマイブームであった。それは、演奏会のプログラムに載っていたため、予習で聴いていて気に入ったのである。
冒頭からドヴォルザーク特有の懐かしさ溢れる旋律が炸裂していて、一気に引き込まれる。曲の段落というか節目のところのつなぎ目が不器用でなので、通して聴いているとあまりスマートではないが、それを補ってあまりあるくらいにすばらしいメロディーが奏でられる。とても上等な生地を使っているけれど、つなぎ目がざっくばらんなので、無骨な背広みたいだ。品質は文句ないのだが、全体的には垢抜けない感じ。
フィルクスニーのピアノはすばらしい。みずみずしくて端正な音を惜しみなく披露している。この人の録音は日本ではあまり多くを見かけないが、シューベルトやモーツァルトのCDはあるのだろうか。もしあるのだったら、是非聴いてみたいものだ。
ノイマンの伴奏もすばらしい。驚きはないけれど、ソツがなく実にまっとうだ。
この曲ではリヒテルとクライバーのものが有名であり入手しやすいものだけど、両雄共に遠慮しているようで結果的に凡庸な出来になっており、演奏はこちらが数段いいと思う。
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Comment

無題 - ダンベルドア

こんばんは。
以前この曲のリヒテル、クライバー盤の時にこの盤をおすすめいただきましたね。
やはりチェコの奏者がやるドヴォルザークは共感が違うのでしょうね。
2007.07.02 Mon 00:00 URL [ Edit ]

Re:ダンベルドアさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
そうでした、以前にリヒテルを薦めさせてもらいましたね。あれからいくつか聴くにつれて、このフィルクスニー盤にたどり着きました。
これはいい演奏だと思います。
また、よろしくお願いいたします。
2007.07.02 12:01

無題 - garjyu

おはようございます。
『勝手にドヴォルザークの日』ご参加ありがとうございました。
ピアノ協奏曲、クライバー、リヒテルのものを持っていますが、いまだ遠い存在です。フィルクスニー、トライしてみたいですね。

P.S.《レンダリング》、こういうキッチュな作品(シャイーのCD持っています。)はすきですね。ブリュッヘンの演奏というのはなおさら興味があります。
2007.07.02 Mon 09:03 URL [ Edit ]

Re:garjyuさん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
当初はリヒテル盤を聴いていましたが、フィルクスニー盤に出会い、こちらに乗り換えました。この演奏でこの曲を好きになったと言えるかもしれません。
《レンダリング》、お持ちですか。サスガです。私は昨日初めて聴きました。年代、作曲家ともに特定しがたい面白音楽ですね。ほしいCDリストに入れたくなりました。
2007.07.02 12:06

無題 - 木曽のあばら屋

こんにちは。
車で通勤していまして、朝はたいていNHK-FMつけてます。
クラシックの時間なわけですが、知らない曲が流れてくると、闘志沸きますね。
演奏者は無理でも作曲者・曲名はけっこうわかるのですが(ちょっと自慢)、
エネスコ、ツェムリンスキー、シマノフスキあたりがなかなか難問(そりゃそうじゃ)。
一昨日だったか、10分くらい聴いてやっとわかった曲はヤナーチェク「シンフォニエッタ」でした。
じつはドヴォルザークのピアノ協奏曲もこのパターンで聴いて、みごとにわかりませんでした。
リヒテル&クライバーでした。
でも、いまだにこの曲のCDを持っていない私です。
2007.07.03 Tue 18:35 URL [ Edit ]

Re:木曽さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
NHK-FMを抜き打ちに聴きますと、まあたいてい分からない曲です。私の場合、3割いけばいいほうです。知らない曲だと、曲名が知りたいので最後の解説まで聴くのですが、たまに曲名を言わないことがあるとガッガリし、少なくない欠落感を感じます。
エネスコ、ツェムリンスキー、シマノフスキあたり、たぶんまったくわかりません。この「レンダリング」は、わからなかった以上に、とても新鮮で面白いものでした。
ドヴォルザークのピアノ協奏曲では、この演奏オススメです。
2007.07.04 12:59

無題 - yoshimi

こんにちは。
ドヴォルザークの作品のなかでは、このコンチェルトとヴァイオリン&ピアノの作品集(スーク&ホレチェク)がとても気に入っています。

フィルクスニーのディスクは独奏曲は少ないですね。ソロはヤナーチェクとマルティヌーしか持っていませんし、あまり出ていないと思います。

後はスーク等と共演した室内楽(モーツァルトならピアノカルテット)か協奏曲(マルティヌー、モーツァルトなど)がありますが、キャリアと実力のわりに録音がとても少ないのが残念です。
それでも晩年にいろいろ録音を残してくれたので、とても綺麗な音でフィルクスニーの演奏が聴けるのはありがたいですね。
2010.01.21 Thu 00:00 URL [ Edit ]

Re:yoshimiさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

いつもコメントをありがとうございます。

ドヴォルザークは好きな作曲家のひとりです。最近は交響曲は7番、室内楽はピアノ五重奏、コンチェルトはチェロよりむしろピアノのほうを気に入っています。ピアノとヴァイオリン、スークとホレチェックのコンビはよさそうです。

フィルクスニーもまた好きな演奏家ですがディスクが少ないのがさびしい限り。ヤナーチェクはわたしも聴いておりますがモーツァルトのコンチェルトは未聴、これは聴いてみたいものです。
2010.01.22 22:35
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