フランク、ドビュッシー、ラヴェル:ヴァイオリンソナタ集小谷野敦の「猫を償うに猫をもってせよ」を読む。
「怪獣映画が好きです」の章が興味深い。
ウルトラセブンのなかの12話「遊星より愛をこめて」が欠番になっているのは周知の通り。私は見たことはない。
小谷野によれば、この話そのものは被爆者を差別する内容ではないらしい。問題になったのは、後に小学館の学習雑誌で怪獣カードを付録に付けた際、この回に登場するスペル星人を「ひばく星人」と名付けたため、被爆者差別だという抗議が殺到し、円谷プロが封印した、というのが真相らしい。
そのような誤解があるならば、見識を見直して、復活させてほしいものである。
デュメイのヴァイオリンでドビュッシーのヴァイオリン・ソナタを聴く。
関東は梅雨入り宣言をした途端に雨が降らなくなった。今日などは蒸し暑くて、なにもしていないのに汗が出る。いやな暑さだ。
そんなときにぴったりなのが、ドビュッシーのヴァイオリン。幻想的でありつつもすっきりとした味わいがいい。音楽そのものが乾燥しているような明晰さがあるし、ピアノの冷たいタッチも涼やかだ。
デュメイは、淡いロマンを発散しつつ、とても明快な楷書書きのヴァイオリンを聴かせる。崩そうと思えばいくらでも崩せそうなこの曲に対し、ど真ん中ストレートで挑んでいる。音色は色でいえば青、キリッと締まった佇まいがいい。
1993年9,10月 ミュンヘンでの録音。
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