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"黄金を抱いて翔べ"、モッフォ、"ランメルムーアのルチア"

2014.08.03 - ドニゼッティ

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高村薫の「黄金を抱いて翔べ」を読む。

これは、5人の男が銀行に眠る金塊を強奪する話。
暴走族との抗争、北朝鮮とのいがみ合い、警察との駆け引き、男同士の恋愛など、読みどころは盛りだくさん。
首謀者のうち2人は実直なサラリーマンであるが、目標に向かう強烈な意志の力は尋常ではない。スーパーマンである。
爆発物の作り方や電気系統を操作するやり方などを、執拗なまでに細かく描かれているところは、デビュー作にして既に高村ワールド。
ただ、いろいろなものを盛り込んだものの、全体としての説得力は、もちろん後年の「マークスの山」や「レディ・ジョーカー」に及ばない。
彼女は進化し続ける。








チラーリオの指揮、アンナ・モッフォのタイトル・ロールで、ドニゼッティの「ランメルムーアのルチア」を聴く。

この曲、及びドニゼッティのオペラは、ジャンルは違えどパガニーニに強い影響を受けていると思う。軽やかな響きのオーケストラは華やかだけれども伴奏に徹しており、それはあたかもパガニーニのヴァイオリン協奏曲のようだ。オーケストレーションの色合いも酷似している。そしてこのオペラの主役であるルチアは、パガニーニにおけるヴァイオリンの役割を果たす。超絶技巧を駆使して聴き手を魅了しようとする。

モッフォはソプラノのなかでは、比較的低い声を出す歌手である。それが濃厚な色気を醸し出しているわけで、この盤よりも古いマゼールとの「カルメン」では、ピッタリとはまっていた。「カルメン」に比べると、技巧を要すると思われるこの曲でも、匂い立つような色香が魅力的。ややひきつりながらも高音を捌き、いい歌を聴かせる。「狂乱の場」はしっとりと濡れている。
コスマ、フィオラヴァンティ、セガトリは堅実に歌いきっていて立派。オーケストラも軽みがあって心地よい。
いずれにしてもこれは、良くも悪くもモッフォのための演奏だ。


チラーリオ指揮ローマ交響楽団、イタリア放送合唱団
ルチア/モッフォ(S)
エドガルド/コスマ(T)
エンリーコ/フィオラヴァンティ(Br)
アリーサ/セガトリ(MS)、他


1972年1月、ローマRCAスタジオでの録音。




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ゴミ箱。








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