エーリヒ・ケストナー(池内紀訳)の「飛ぶ教室」を読む。
これは、クリスマスを前にしたドイツのギムナジウムを舞台にした数日間の話を描いた小説。5人の生徒と教師、それにホームレスの変人がからむ。
少年たちの荒々しくも生き生きとした言動が痛快。ときには他校の生徒と決闘し、ときにはクリスマス会の舞台に精を出す。
みんなが敬愛する先生とホームレスが実は古い友人だということを察知して、さりげなくふたりを会わせるところなど、とても情感に溢れている。
そしてラストは、クリスマスにふさわしいプロットがふんだんに持ち込まれている。話のつくりは、少年向きかも知れないが、少年の心を忘れない大人にも響く←わたくしのこと。笑
以前に、クリスマスにふさわしい読み物として、「クリスマス・カロル」と「賢者の贈り物」とのふたつをあげたが、これもぜひ加えたい。
amazonのレビューには手厳しいことが書いてある。だが、よく読むとどうなのかなと。翻訳に関する注文のようだ。いまひとつ説得力がない。この翻訳は理に適ったものであると思うし、中庸なのだと感じる。
原著を知らないくせにこういうことを言う。
オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏で、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」ハイライトを聴く。
クラシック音楽を覚えたのは、この曲でである。前にも書いたかもしれないが繰り返そう。
小学校5年の時。近所に住んでいる秀才の誉れ高い直くんがある日「今日、ラジオでくるみ割り人形をやるよ」と言った。それまで音楽といえば歌謡曲しか知らなかったのにそれを聴いたのは何故か、今となっては思いだせない。
チャイコフスキーがとても面白かったので、近所である江戸川橋のレコード屋さんに、LPを買いに行った。候補はふたつ。両方ともオーマンディ指揮フィラデルフィアで、「くるみ割り人形」と「白鳥の湖」の組曲がセットになっている1300円のもの、あとは三大バレエの組曲が入っている2300円のもの。安かろうまずかろうという直感で、後者を選んだ。当時は廉価盤の良さをわからなかったわけだ。けれども、結果的には3つの曲を知ることができて、大変満足した。
その後、同じ指揮者による「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」のハイライト盤(RCA)をCDで購入した。これもとてもよく、機嫌がよかった。
でも、オーマンディがくるみ割りの「雪のワルツ」、「パ・ドドゥ」全曲、そして「大団円とワルツ」を録音していたことを知ったのは、昨年のことだった。つまり、このディスク。
「雪のワルツ」の主題が合唱ではなくトランペットで吹かれていること、あるいは、「花のワルツ」の2巡目でヴァイオリンを1オクターヴ高く鳴らせていることなど、いくぶん変わっている。
それでもなお、この演奏は言いようもなく素晴らしい。だから、言わない。
生で聴きたかった演奏はどれか、という荒唐無稽な問いがある。
フルトヴェングラーのベートーヴェンや、ラフマニノフの自作自演、あるいは、カラスとジュリーニの「トラヴィアータ」など。夢想すれば、尽きない。いろいろと聴きたいものはある。
酔っ払った勢いで言えば、今なら、オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団のチャイコフスキーの三大バレエを聴きたい。できればそれぞれ全曲をやってくれたら言うことがない。3日間連続で。舞台は、あってもなくてもよい。
さしずめ東京ならば、サントリー・ホールかな。オペラ・シティでもいいや。
1972年9月、フィラデルフィア、スコティッシュ・ライト・カテドラルでの録音。
おでんとツイッターやってます!八甲田その3。
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バーンスタインもまた素晴らしくて、ベートーヴェンやブラームス、マーラーといったところは後年のウイーンとのものより好きだし、「シェエラザード」はいまだ最高の名盤のひとつだと思っています。
ミュンシュ、ライナー、セルですか。そそらないではいられません。とくにライナーはあまり多くを聴いていないので、欲しくなりました。
少しあとの時代ですが、メータとロスフィルも最近気になっています。