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マゼールのチャイコフスキー「1812年」

2008.10.11 - チャイコフスキー


maazel

チャイコフスキー「1812年」他 マゼール指揮ウイーン・フィル、ウイーン国立歌劇場合唱団


志賀直哉の「城の崎にて」を読む。
山手線に跳ね飛ばされた主人公が、療養のために城崎温泉に投宿する。蜂やイモリなど小動物の生死を通して、自身が生きていることの不思議さを問うた作品と読んだ。
昔のヒトはなにかにつけて温泉で長療養する。
この作品でも、3週間から5週間程度泊まっていると仄めかしている。主人公がどういう地位の人物かここでは記述されていないが、作者自身なのかもしれない。
今の時代に、温泉に一ヶ月も泊まったらけっこうな散財になる。一泊あたり安く見積もって5000円、かけること30日で15万だ。昼ごはんも別にかかるだろうし。
それに勤め人だと、1ヶ月も仕事を休むことができない。金と暇、両方兼ね備えていないと実現は難しい。
こういうのを読むと、作家という職業に憧れるのだ。筆一本で全国の温泉地を駆け巡る。
温泉三昧。仕事は気の向いたとき。いいなあ。実際にはいいことばかりではないのだろうけど。


マゼールの「1812年」は、ありありの大盛りラーメン。
チャーシュー、コーン、バターをトッピングだ。
大砲はもちろん、合唱がはいっているのは珍しい。入るものはなんでも入れてしまえというマゼールの見識によって、ユニークなレコードが実現したわけだ。
合唱が入ることによってそれなりに盛り上がるが、歌そのものはたんたんと冷静なもの。
オケはウイーン・フィル。この曲を録音するのは、ウイーン・フィルにとってこれが初めてだったという。
当時世界の音楽界を席巻する勢いだったマゼールがやってくれたわけだ。
まあ曲が曲なだけに、ウイーン・フィルだからどうのという演奏では、特段ないのではないか。
その後、このオケは「1812」をやったのだろうか。


1981年6月、ウィーンでの録音。

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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま こんにちは

谷崎潤一郎の「文章読本」珍しく面白い文章読本であろうと思いますが、唯一不可解であったのは、志賀直哉「城之崎にて」を激賞しているところでした、爆〜。あまりに激賞しているので、大昔読んだ本はどこに行ったか分からないので、文庫をまた買って読んだことありあます。激賞の意味はいまだに分かりませんが、爆〜。

温泉三昧の1ヶ月、あの部屋の感じでは、きっと1泊2〜3万円くらいではないかと思います。50万くらい必要ではないか、と。私も休んで温泉三昧ならぬ、沖縄三昧、もしくはヴィーンあたりで一ヶ月過ごしたいですが、すぐに仕事がなくなりそうです。

ヴィーナー・フィルハーモニカーが「1812年」を初めて演奏したのが、この演奏なんですね。知りませんでした。ゲルギエフなどが良く指揮をしていますので、「1812年」も演奏しているのではないかと思うのですが〜。

ベームが来日公演で「火の鳥」をやったことがありましたよね。いつの来日か忘れましたが。えええ、ベームは「火の鳥」を暗譜しているの?と驚いたことを思い出しています。ベームは目が悪かったとかで、昔演奏した曲意外の現代曲は演奏できなかったと聞いたことがありました〜。

ミ(`w´彡)
2008.10.12 Sun 13:47 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
「文章読本」、何人かの作家で読みましたが、谷崎のはまだ読んでいません。「城之崎にて」を激賞しているのですか。
確かに面白い小説だと思います。短いなかに滋味があるというか。療養で温泉宿に泊まっていると暇なのでしょう。その暇さがよく伝わる話でありました。
温泉宿も、少しいいところだと2,3万しますね。寅さんが泊まる宿とは違いますものね。
沖縄やヴィーンで一ヶ月、いいですね。過ごしてみたいものです。

ゲルギエフはやりそうですね。ウイーン・フィルともよく演奏しているし。「1812年」なんとも派手でユニークな曲です。フランスでは絶対やらないそうですね。
ベームが「火の鳥」をやったのは77年でしたか。アンマッチな感じがしました。ベームがやると「火の鳥」も現代音楽という感じになります。

>ベームは目が悪かったとかで、昔演奏した曲意外の現代曲は演奏できなかったと聞いたことがありました〜。

なるほど、たしかに、若い頃はともかく晩年はあまり現代曲をやらなかったですね。
2008.10.12 21:24

無題 - mozart1889

これはイイですねえ。いかにもマゼール的。しかもカップリングがベートーヴェンの「ウェリントンの勝利」ですもんね。虚仮威し的音楽、マゼールにはとても合うんです。僕はマゼール好きなので、是非、今後ともこういうアザトイ音楽をやって欲しいと思ってます。
2008.10.13 Mon 09:45 URL [ Edit ]

Re:mozart1889さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
ウイーン・フィルで、あえてこういう曲をやるところがマゼールらしくていいですね。
カップリングの「ウェリントンの勝利」もなんともいえません。
こういう曲をやるマゼール、ワタシも好きなのです。
彼はもうすっかり巨匠になってしまいましたが、たまにはこういう面白いことをして、「まだこんなことやってるのか」と言わせてほしいものです。
2008.10.13 10:36

無題 - neoros2019

1812年はブックオフでデュトワ/モントリオール響を500円で購入
合成録音は効果が成功しているとはいいがたい
スラブ行進曲、展覧会の絵と御馴染みカップリングでした
演奏は総じてなんともいえません
2008.10.20 Mon 23:38 [ Edit ]

Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司

デュトワ盤はシンセサイザーが使われているのでしたね。発売当初に話題になりました。
とはいえまだ聴いていません。
デュトワのCDは一時期異様に発売されていたので、ついていけてません。
でもこれはおもしろそうですね。
2008.10.21 12:46
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