チャイコフスキー「1812年」他 マゼール指揮ウイーン・フィル、ウイーン国立歌劇場合唱団志賀直哉の「城の崎にて」を読む。
山手線に跳ね飛ばされた主人公が、療養のために城崎温泉に投宿する。蜂やイモリなど小動物の生死を通して、自身が生きていることの不思議さを問うた作品と読んだ。
昔のヒトはなにかにつけて温泉で長療養する。
この作品でも、3週間から5週間程度泊まっていると仄めかしている。主人公がどういう地位の人物かここでは記述されていないが、作者自身なのかもしれない。
今の時代に、温泉に一ヶ月も泊まったらけっこうな散財になる。一泊あたり安く見積もって5000円、かけること30日で15万だ。昼ごはんも別にかかるだろうし。
それに勤め人だと、1ヶ月も仕事を休むことができない。金と暇、両方兼ね備えていないと実現は難しい。
こういうのを読むと、作家という職業に憧れるのだ。筆一本で全国の温泉地を駆け巡る。
温泉三昧。仕事は気の向いたとき。いいなあ。実際にはいいことばかりではないのだろうけど。
マゼールの「1812年」は、ありありの大盛りラーメン。
チャーシュー、コーン、バターをトッピングだ。
大砲はもちろん、合唱がはいっているのは珍しい。入るものはなんでも入れてしまえというマゼールの見識によって、ユニークなレコードが実現したわけだ。
合唱が入ることによってそれなりに盛り上がるが、歌そのものはたんたんと冷静なもの。
オケはウイーン・フィル。この曲を録音するのは、ウイーン・フィルにとってこれが初めてだったという。
当時世界の音楽界を席巻する勢いだったマゼールがやってくれたわけだ。
まあ曲が曲なだけに、ウイーン・フィルだからどうのという演奏では、特段ないのではないか。
その後、このオケは「1812」をやったのだろうか。
1981年6月、ウィーンでの録音。
PR