チャイコフスキー交響曲第5番 プレトニョフ指揮ロシア・ナショナル管弦楽団明日まで忌引き。
正直言って、特に用事もなかったので、本をパラパラめくりつつFMを流していた。
中学生のころ、試験で早く帰ることができる日は喜んで聴いていたものだ。あの頃は1時から3時までクラシック音楽をやっていたけれど、いつのまにか時間帯が変わり、2時から放送している。
今日はロシア特集で、途中のボロディンから聴いていた。
FMでは、あたりまえだけど自分がとくに聴きたくない曲でも否応なしに流してくれる。
だから新たな発見をすることが多い。
たまたま今日は知っている曲ばかりだったけど、演奏はみんな初めて聴いた。タカーチ四重奏団のボロディン、マイスキーのロココの主題、プレトニョフのチャイコフスキー第五。
それぞれいい演奏だったけど、印象に残ったのはプレトニョフの交響曲。
プレトニョフは、吉田秀和の番組がよく取り上げていたのを知っていたけれど、交響曲をまともに聴いたのはこれが初めて。というか、プレトニョフが指揮した音楽をほとんど知らなかった。
それは、ピアニストが指揮を始めることに対してナゼか偏見があるからなのだ。アシュケナージやエッシェンバッハもそうなのだけど、どうも積極的に聴こうとしない。
だから出遅れてしまう。
ピアニストで一流の域に達したヒトであれば指揮者としてもある程度大成できることを、彼らの活躍をみていればわかるのだけど…。
プレトニョフのチャイコフスキーは、適度に抑制のきいた色彩的なもの。
第1楽章はリズミカルで深刻さは控えめ、第2楽章ではホルンにかなりヴィヴラートがかかっていて、これはこってりと甘い。3,4楽章は、流れがよくて、とてもスマートだ。
第五はもともとかなり大仰な音楽であるから、あんまりパワフルにやられると疲れてしまうが、この演奏ではそういうことはない。ほんのちょっともの足りないなあと思うくらいが、腹八分目でちょうどよいかも知れない。
1995年4月、モスクワでの録音。
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