チャイコフスキー 交響曲第4番 ショルティ指揮シカゴ交響楽団 志水辰夫の「行きずりの街」を読む。
元高校教師が、失踪した教え子を探すうちに、もとの職場だった学校のスキャンダルに巻き込まれていくミステリー。
主人公が、映画のはみだし刑事なみスーパーマンぶりなのが笑える。
日常生活がとても細かく描写されていて、主人公のいらだちや怒りがよく伝わってくるが、ストーリーが面白いかといえば、まあ普通であり、さして驚きはなかった。
とはいえ、ミステリーものを読むのは久しぶりだったので、始めから一気に読む進んでしまった。
ショルティとシカゴ饗とのコンビのによるチャイコフスキーはどれを聴いても痛快だ。
私は、チャイコフスキー独特のべたべたした感傷的メロディーがけっこう好きだが、ショルティの演奏はそれがとても薄められているにも関わらずとても魅力的に聴こえる。
泣かせようと思えば、激しく泣かせられる場面であっても、我慢して我慢してハードボイルド・タッチに仕上げている。
そっけないといえばそっけないが、キメの細かいひんやりした手触りが心地よい。
激しい部分のパワフルさもいいけれど、緩除楽章の言葉少ないストイックな佇まいも最高だ。
伝記や物語性を廃した、ショルティの「オレ流」解釈に迷いはない。
欲を言えば、もっとアンサンブルに精度が欲しい。通常のレベルではまったく問題はないが、たまに聴かれる合奏に乱れでも気になってしまうのは、「ショルティとシカゴ饗」というブランドの高さゆえにであろうか。
コーダでの、冷静沈着な金管のメカニカルな響きは圧倒的。このコンビを聴く醍醐味である。
1984年5月、シカゴでの録音。
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