ケンプ・トリオの演奏で、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」を聴く。
結論から言うと、これは素晴らしい演奏。
ピアノが中心となり、ヴァイオリン、チェロが今生まれたばかりのような生き生きとしたメロディーを奏でている。1楽章も素晴らしいが、なんといっても2楽章は聴き逃せない。
めくるめく変奏に、それぞれ表情を変えながら推進していく音楽なわけだが、どれをとっても瑞々しいことこのうえない。ときにはしっとりと、ときにはポップに、弾ききっている。愉しいことこの上ない。
音楽に、これ以上を望むことがあるだろうか?
フレディ・ケンプは、ウィルヘルム・ケンプの遠縁にあたり、母親は日本人とのこと。実の息子が孫かと思っていたがそうではない。でもこの技量は生半可じゃない。簡単なようでいて難しいこの音楽を、実に生き生きとまとめているのである。
バンセもチャウシャンも言うことなし。
この曲のベストとも言える、これは録音。
フレディ・ケンプ(ピアノ)
ピエール・パンセ(ヴァイオリン)
アレクサンドル・チャウシャン(チェロ)
2002年3月、ストックホルム、音楽アカデミー
での録音。
パース便り。
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