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セルのスメタナ「交響詩"モルダウ"」

2007.07.07 - スメタナ
smetana

スメタナ「モルダウ」 メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」 セル指揮クリーヴランド管  ビゼー交響曲第1番 ストコフスキー指揮ナショナル・フィル


本屋にはそれぞれ個性がある。同じくらいの規模でも、本の陳列の仕方で売りたい本がわかる。
入り口やレジ近くに山積みされている本が目立つということになるが、これが店によってまちまちなのが面白い。そういった志向が自分にあった本屋があるようで、そういう店に立ち寄ったら最後、さっと回っただけで買いたい本がテンコ盛りになってしまうことがあり、嬉しくも痛い。で、どんどん買い足してゆくと、読むのが追いつけなくてたまってしまうわけ。
今、手をつけている本は、「死の棘」(島尾敏雄、これはもう半年以上格闘している)、「ヘタな人生論より徒然草」(荻野文子)、「経済ってそういうことだったのか会議」(佐藤雅彦・竹中平蔵)、「葉桜の季節に君を想うということ」(歌野晶午)、「ヴェニスの商人」(訳:安西 徹雄)、「説得力を高める思考術」(鷲田小禰太)、「人生の鍛錬―小林秀雄の言葉」といったところ。
家で読んでりゃいいものだが、本屋めぐりはやめられそうにない。


セルの「モルダウ」を聴く。セルとクリーヴランドのコンビの世評はとても高い。たしかに弦を中心としたアンサンブルのよさには目を瞠るところがあるし、時に爆発するパッションには唸らされる。
生きていたら聴いてみたい演奏家のトップクラスだ。
でもいいところばかりじゃない。弦楽器がいつもすばらしいのはこのコンビの最良の個性だと思うけれど、曲によってはラッパの音がきつい。まるで親のカタキのように咆哮する。金属的で耳につんざくようなその音は、いままで穏便に進行していた音楽から浮いている。
この「モルダウ」もそう。あの有名なメロディーを、クリーヴランドの弦楽器奏者たちは一糸乱れずに歌う。それは曲が進むにつれてどんどん精度と情熱を増していって、ラスト付近ではその輝きは最高潮に達する。それはまったく独特の響きだ。ああいう音は他のオケからなかなか聴けるものじゃなく、このコンビならではと言っていいかもしれない。
しかし時折顔を見せるラッパ、ことにトランペットの音はいただけない。輝かしさということでは弦に負けていないが、尖っていて耳に痛い。セルのことだから意図的にやっているの違いない。多分に録音の加減もあるのだろう、だから余計に彼らの生演奏を聴いてみたかった。
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Comment

無題 - sweetbrier

こんばんは。私も本屋さんは大好きなお立ち寄りポイントですが、買っても積ん読が多くていかんなあと思っているところです。

セル指揮クリーヴランド管のトランペットですが、こちらのエントリーを読み、でも私はこのコンビの「モルダウ」を持っていないので、今日はバルトークとヤナーチェク(1965年録音)を聴いてみました。ライナー・ノートにあるリハーサルのエピソードを読むと、セルが意図的にやっているに違いないという吉田さんの推測に頷けます。

「シンフォニエッタ」ではトランペットに限らず、多少エキセントリックなパートと冷静に演奏するパートの交錯が聴き取れます。すべてセルの想定どおりかと。私も耳が痛いですけどねー。。
2007.07.08 Sun 22:56 URL [ Edit ]

Re:sweetbrierさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
セル指揮クリーヴランド管のトランペット、ヤナーチェクもけっこうトゲトゲしいですね。あと、モーツァルトの交響曲でもときどき現われますね。トランペットが強いのは大いに歓迎でありますが、セルの場合音が浮いて聴こえることがしばしばで、これは録音のせいかなあと思ったりするのです。

昨日から高熱が出て、悪寒と冷や汗にまみれて床に伏しております。夜のクーラーが原因じゃないかと。夏風邪は○○がかかると言いますが、なんともはや。
2007.07.09 18:27

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは!
セルの「モルダウ」、ドヴォルザークの第7交響曲とのカップリングで聞いているはずなのですが、吉田さんが仰るラッパの件、思い出せませんでした(汗)。
これを拝読しつつ、すぐに思い浮かんだのが、コンヴィチュニーの幾つかの録音です。(「さまよえるオランダ人」、ブルックナーの第5交響曲など。)
コンヴィチュニーの堅牢な指揮ぶりはとても好きなのですが、第1トランペットの耳をつんざくような金属的な咆哮は異常とも思えました。
今度「親のカタキ」対決をしてみたいと思います(爆)。セル、コンヴィチュニーのトランペット、カラヤンのティンパニィ、・・・
2007.07.16 Mon 19:35 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。
セルは、ときどきトランペットを強調するときがあるようで、それはマゼールの演奏では聴かれないので、指揮者の指示なのだと思います。弦楽器をあれだけ丁寧に合わせているのにトランペットだけは高らかに咆哮するのが面白いところです。
とはいえマゼールも突発的に楽器を強く弾かせたりしますね。ブルックナー8番のティンパニとか…。
コンヴィチュニーもそうですか。今度聴いたときに注意してみます。
2007.07.16 21:03
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