ポリーニ/ショパン「練習曲集」アシュケナージ/ショパン「練習曲集」今晩は30年前のネタで。
ショパンの練習曲といえば、まずポリーニのレコードを思い出す。
機械的に正確無比な技術から繰り出されるピアノの冷たい響きは、まさに情け無用の乱れ撃ちといった風情があり、この音楽からは義理も人情も見出すことはできない。
本気で「練習」しちゃっている演奏だが、「ヒトはやればここまで出来る」ということを徹底的に知らしめたという意味で記念碑的な作品と言える。
アシュケナージも当時はテクニックで鳴らしたヒトであるから、ポリーニと比べても技術的には遜色のない出来であるが、アシュケナージのは、人間が弾いているうまさ。ポリーニのターミネーター的なうまさとは質が異なる。
DECCAの音質のせいもあって、こちらは響きに潤いと柔らか味があって、情け深い演奏である。
細部の表情のつけかたにも色があって、味わい深いのはアシュケナージのほうだ。
ポリーニが「硬」であれば、アシュケナージは「軟」である。
ただ、人柄はふたりとも「軟派」であるような感じがする。
そうであってほしい。
アシュケナージの録音は、ポリーニとほぼ同時期になされている。
前者は1971.5~1972.6にかけての録音。
後者は1972.1~1972.5。
DG、もしくはDECCAのどちらかがぶつけてきたものだろう。
アシュケナージは1937年生まれ。
ポリーニは1941年生まれ。
ふたりとも現在60代後半であるので、そろそろこの曲を再録してほしいものだ。
昔ほどのテクニックはもうないから、味で勝負することが予想されるが、あにはからんや、年を考えずにテクで勝負したりする姿も微笑ましくていい。
実現しないものだろうか。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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