迫勝則の「前田の美学」を読む。
これは、広島カープの前田智徳の2000本安打への軌跡を描いたノンフィクション。
彼の入団当初の背番号は「51」で、彼に憧れを抱いていたイチローはそれで自身の背番号を51にしたというエピソードや、両足のアキレス腱を切っていたといった話は初耳だった。
内容そのものは、一ファンの思い入れがかった、贔屓のひきたおしみたいなところがある。ただ、野球が好きであればカープファンでなくとも、まずまず楽しく読めるだろう。
津田のエピソードが挿入されている。やはり泣かせる。これは、反則だ。
ブレンデルのピアノでシューマンのピアノ協奏曲を聴く。
この演奏、レコードの発売当初に図書館で借りて聴いたときは、特段印象に残らなかったが、今改めて聴くと、いい。
冒頭のやや引き延ばした和音も気にならないし、それに続いてオーケストラは基本的にレガートを多用しているが、それも納得できるものだ。
ブレンデルのピアノは濃厚。響きは厚めで、ロマンティックな香りがぷんぷんする。
そこに狂気は薄いものの、ロマン派前期の気だるさを惜しみなく発散している。ひとつひとつの音符に対して、深く心をこめて弾いていることがわかる。
アバドのオーケストラは、ピアノが目指している方向を的確に捉えている。
いい演奏である。
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
クラウディオ・アバド指揮
ロンドン交響楽団
1979年6月、ロンドン、ワトフォードでの録音。
スワン河。
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