池田清彦の「ナマケモノはなぜ『怠け者』なのか」を読みました。
「よく、自分の体は自分のものだから、自殺するのも自分の勝手だと主張する人がいるが、あなたが自殺すると、あなたの体に棲んでいる100兆もの命が道連れになる。あなたの体とそこに棲む微生物の関係は、地球と地球上に棲む動植物の関係と同型なのだ」。
ベテラン生物学者が微生物から人間まで最新の研究を披露、ユーモア溢れる話が満載です。
微生物のほとんどは善玉菌だという。それによって人間は生かされている。それは皮膚の表面や腸のなかだけでなく、口内にもさまざまなものが棲んでいるらしい。
だから、愛してると言いつつするキスは、生物学の観点からすると口内細菌を交換するということに過ぎない、と。
なかなかロマンティックな話です。
レオン・フライシャーのピアノ、セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏でシューマンのピアノ協奏曲を聴きました(1960年1月、クリーヴランド、セヴァランス・ホールでの録音)。
とても気に入りました。
いままでこの曲のディスクをたくさん聴いてきたけれど、こんなに瑞々しくて清冽な演奏はあったか知ら?
自在ともいえるテンポの揺れはいたって自然であり、流れを損なわない。セルとの息もぴったり合っています。音色は終始透明感を湛えており、フォルテッシモでも決して濁らない。それでいて、シューマンの「仄めかし」もうっすらと漂っていて、幻想味もある。
これはフライシャーがまだ両手で弾くことができた頃の録音。彼はその後1965年に病気で右手が使えなくなったため、左手のピアニストとして活動していましたが、2004年に快癒し、再び両手が使えるようになりました。息の長いピアニストです。
パースのビッグムーン。
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フライシャーはあまりまとめて聴いたことはないので、断片的なイメージしかありませんが、このシューマンはじつに鮮烈です。瑞々しくて素晴らしい。セルの指揮もシャキッとしている。愛聴盤になりそうです。
こちらこそ、本年もありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください!