小谷野敦の「文豪の女遍歴」を読みました。
「作家にとっては、女を知ることは小説に使うという意味合いもあり、川端の『雪国』なども典型的な例だが、本当に好きでつきあったのか、小説に使うつもりだったのか、女としては気になるだろうが、双方あいまってということが多いようだ」。
ほんとうかな?
この著者の文章は相変わらずせっかちで読みづらいのだけれど、情報量は多い。幕末生まれの森鴎外から昭和生まれの池田満寿夫まで62人の作家を取り上げています。せっかちもこうしたテーマであればいいのかもしれない。
女遍歴がすごい人(谷崎潤一郎、宇野千代など)から普通な人(与謝野鉄幹、開高健など)まで、プライバシーの考慮からか逝去した作家のみが取り上げられていますが、それぞれ固有で濃厚な人生を感じます。ひとり2、3ページの分量だけれど、ずっしりとした悲哀がある。
バレンボイム指揮シカゴ交響楽団、リテーズのオルガンでサン=サーンスの交響曲3番を再び聴きました(1975年5,6月、シカゴとパリでの録音)。
バレンボイムはオペラを振るとなかなかいいと思うけれど、オーケストラ曲はあまりピンときません。テンポを大きく揺らしたり、弦楽器をうねらせるところは師匠であったフルトヴェングラーの影響だと言われています。ちなみにフルトヴェングラーが逝去したのは1954年で、バレンボイムは当時12歳くらい。その若さでの師弟関係とはいかなるものかと思わないでもないけれど。
ただ、このサン=サーンスは好きな演奏です。シカゴのブラスと弦楽器が白光りしていて美しい。オルガンはパリのシャルトルにおいての別録ですが、言われなければわからない。オーケストラとうまく溶け合っていて、とくに終楽章はじつに壮麗です。
パースのビッグムーン。
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