バーンスタイン指揮ウイーン・フィル/シューマン交響曲第1番、他バーンスタインの録音活動は、おおきく2つに分けられると思う。
ひとつはニューヨーク・フィルとの時代、もうひとつはウイーン・フィルとのものである。その2つの時代は、ちょうどコロンビアをグラモフォンというレコード会社にも分けることができる。
彼が作曲活動も同時にしていたという特性を考えると、ニューヨーク・フィル時代のもののほうがより個性がきわだったレパートリーを開陳していて、それは今聴いてみてもとても新鮮なものだ。
これから何十年か経て、彼の指揮活動の評価がより固められた暁には、彼を代表する録音群の多くはニューヨーク・フィルとのコロンビア時代から選出されるのではないか。
それに比べると、ウイーン・フィルとの演奏は折衷的で鈍重なものが多い。バーンスタインが巨匠になったことを知らしめた「ベートーヴェン交響曲全集」や、それにダメ押しをした「ブラームス交響曲全集」は悪い演奏ではないが、今聴くといくぶん新鮮味に欠けるし、ウイーン・フィルの色のほうが濃い音楽になっているように感じる。
マーラーといえばバーンスタインといえるほど、彼はこの作曲家に傾倒し、作られたCDには目を見張るような演奏があるが、グラモフォンで出したものがコロンビアで録音したものに比べて素晴らしいかというと、あまり遜色はない。大体、オケの選出が中途半端すぎる。7番はニューヨーク・フィルで6番はウイーン・フィルにしたという基準が明快ではなく、なんだか気持ちが悪い。クーベリックが全て異なる楽団でベートーヴェンを演奏したのとは違って、こちらにはなにか企業の論理を感じるのである。
そういうわけで、マーラーの新しいほうの全集は -演奏は悪くないにも拘らず- これを彼の代表盤にすることに躊躇があるのだ。
勝手にバーンスタインの日
といいつつ、ここではニューヨーク時代のものではなくウイーン時代の録音を。
シューマンもバーンスタインの得意な作曲家のひとりであったが、特にこの1番は優れている。2番と3番は世評は高いが、やや重くるしい。4番もいいが、1番は、野暮ったいけれども情熱に溢れていて、良くも悪くもバーンスタイン節が全開である。
全曲に渡って、ティンパニが強く、威圧的ではある。でもリズムが良いし、ひとつひとつの旋律が生命感に溢れていて、「ちょっと前向きでふてぶてしいシューマン」を聴くことができる。こういうシューマンがあってもいいと思う。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
メールアドレスを入力してボタンを押すと登録できます。
PR