シューベルト 交響曲第8番「グレイト」 ムーティ指揮ウイーン・フィルこの曲をどう呼ぶべきか。
番号だと、8番だか9番だかどちらがいいのかよくわからない。「グレイト」なんていうとなんだかアメリカ人みたいで照れくさい。かといってハ長調大交響曲は硬すぎる。ヒトに説明するときにひとことで言えないのがツライ。
「9番、いや今は8番が有力らしいけど、ま、いわゆるグレイトっつうか…」。
シューベルトに未完成の曲は他にあるにも関わらず「未完成」といえばロ短調のアレであるから、この場合は楽だ。
なにかいい呼び名が発明されないものか。
この曲を最初に聴いたのは、ジュリーニ指揮シカゴ饗の演奏だった。このLPが発売されてすぐの頃。これに味をしめて、そのあといろいろな演奏を聴いたが、ハズレだった記憶があまりない。
古くはフルトヴェングラー、ワルター、クレンペラー、それぞれいい。剛健なベームとベルリン・フィル。2枚組が驚きだったレーグナー。C・デイヴィスとボストン饗、ショルティ、ブロムシュテット等等。その中で大変印象的だったのは、1979年頃に放送されたベーム指揮ベルリン・フィルの演奏で、これに強く感動した記憶がある。なにかの音楽祭の実況だったかと思う。
この日の演奏がCD化されたことは今までないし、今後もあるかわからない。エアチェックしなかったことの痛恨さは、トップクラスだ。
ムーティも一時期この曲をよく取り上げていて、ライヴの放送もされたしスタジオ録音も行っている。
提示部の反復をキッチリ行っているため演奏時間は1時間を超える。ウイーン・フィルのねっとりした音色がよく出ているので、テンポは軽やかだけれども腰の据わった聴き応えがある。
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