ラサール弦楽四重奏団・他の演奏で、シェーンベルクの「浄夜」を再び聴きました(1982年11月、ハンブルクでの録音)。
これは、弦楽六重奏曲によるものです。
シェーンベルクがリヒャルト・デーメルの詩に影響を受けて書いた作品ですが、この曲を聴いたデーメルは「音楽独自のもの」と断言していたとのこと。まあ、インスピレーションなのでそういった考えの違いというものはあるのでしょう。
ご存じのとおり、これは他の男の子供を身ごもった女を男が許す、という内容の詩です。
「男は女の厚い腰を抱いた。ふたりの息はあたたかくまじり合った。男と女は明るく高い夜空のなかを歩んでゆく」。
ラサールらの演奏は精緻を極めています。折り目正しいなかに、ときおりポルタメントをきかせて甘美な味を出しています。彼らのひんやりとした響きが、この曲にとても合っている。テンポは中庸で、弦楽合奏とはまた違う味わいがあります。
そして、毅然と咲く白いバラの匂い立つ芳香のような、濃厚で上品なロマンティシズムが姿をあらわします。
男は、寛容でなければいけません。
ラサール弦楽四重奏団
ウォルター・レヴィン(1Vn)
ヘンリー・メイヤー(2Vn)
ピーター・カムニッツァー(Va)
リー・ファイザー(Vc)
ドナルド・マッキネス(2Va)
ジョナサン・ペギス(2Vc)
パースのビッグムーン。
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