サン・サーンス「七重奏曲」 モーリス・アンドレ(Tp) ジェラール・ジャリ(Vn) 他小澤征爾と村上春樹の「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を読む。
グールドやゼルキンの演奏を聴き比べる前半が面白い。ひとつひとつの音楽の深堀はともかくとしても、演奏の幅がどれだけあるのかは、音楽家よりもむしろマニアのほうがよく知っているというわけだ。
全体的に、ボストン響とサイトウ・キネンのことはわりとよくしゃべっているのに、ウイーン監督時代のこととなると声が小さくなる。病気をしていたこともありながら、いい実績をあげられなかったからだろう。でも、原因は病気だけではないと思っている。
そのあたりの事情を詳しく知りたかった。ちょっと意地悪な読み方だけど。
サン・サーンスの七重奏曲を聴く。
弦楽五重奏とピアノ、トランペットによる編成である。サン・サーンスは室内楽曲を12曲書いたと言われているが、この編成は唯一。というか、世界でも珍しいだろう。
珍しい編成でありつつ、音楽が始まると、そんなことは気にならなくなる。数秒で馴染んでくる。
これはフランスの名手たちによる演奏。もともとがカラッとした曲であり、この演奏がそれに加えて晴朗明快。クールで乾いている。
だから、甘いメロディーに包まれた曲でありながら、どこかしらシュールな雰囲気すら醸し出している。フランス人の合理性の一端がわかるような気がする。わからないか。
アンドレの、輝かしくも繊細なトランペットは名人芸。
ちなみにこのCD、「動物の謝肉祭」がカップリングされているので、ピアニストがふたりクレジットされている。ところがこの曲で弾いているのがどちらなのか明記されていない。
たぶん、最初に記載されているベロフだと思うのだが…。
モーリス・アンドレ(トランペット)
ミシェル・ベロフ
ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ) どっちか
ジャック・カゾーラン(コントラバス)
セルジュ・コロー(ヴィオラ)
ジェラール・ジャリ(ヴァイオリン)
アラン・モグリア(ヴァイオリン)
ミシェル・トゥールヌ(チェロ)
1977年1月、パリでの録音。
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