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"小澤征爾さんと、音楽について話をする"、アンドレ、"七重奏曲"

2012.08.09 - サン=サーンス

sa


サン・サーンス「七重奏曲」 モーリス・アンドレ(Tp) ジェラール・ジャリ(Vn) 他



小澤征爾と村上春樹の「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を読む。
グールドやゼルキンの演奏を聴き比べる前半が面白い。ひとつひとつの音楽の深堀はともかくとしても、演奏の幅がどれだけあるのかは、音楽家よりもむしろマニアのほうがよく知っているというわけだ。

全体的に、ボストン響とサイトウ・キネンのことはわりとよくしゃべっているのに、ウイーン監督時代のこととなると声が小さくなる。病気をしていたこともありながら、いい実績をあげられなかったからだろう。でも、原因は病気だけではないと思っている。
そのあたりの事情を詳しく知りたかった。ちょっと意地悪な読み方だけど。








サン・サーンスの七重奏曲を聴く。
弦楽五重奏とピアノ、トランペットによる編成である。サン・サーンスは室内楽曲を12曲書いたと言われているが、この編成は唯一。というか、世界でも珍しいだろう。
珍しい編成でありつつ、音楽が始まると、そんなことは気にならなくなる。数秒で馴染んでくる。
これはフランスの名手たちによる演奏。もともとがカラッとした曲であり、この演奏がそれに加えて晴朗明快。クールで乾いている。
だから、甘いメロディーに包まれた曲でありながら、どこかしらシュールな雰囲気すら醸し出している。フランス人の合理性の一端がわかるような気がする。わからないか。
アンドレの、輝かしくも繊細なトランペットは名人芸。

ちなみにこのCD、「動物の謝肉祭」がカップリングされているので、ピアニストがふたりクレジットされている。ところがこの曲で弾いているのがどちらなのか明記されていない。
たぶん、最初に記載されているベロフだと思うのだが…。


モーリス・アンドレ(トランペット)
ミシェル・ベロフ
ジャン=フィリップ・コラール(ピアノ) どっちか
ジャック・カゾーラン(コントラバス)
セルジュ・コロー(ヴィオラ)
ジェラール・ジャリ(ヴァイオリン)
アラン・モグリア(ヴァイオリン)
ミシェル・トゥールヌ(チェロ)


1977年1月、パリでの録音。








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Comment

ウィーン時代の苦労が察せられます - yoshimi

こんにちは。「小澤征爾さんと、音楽について話をする」は、とても話題になった(ている)本ですね。
発売当初にざっと読みました。
さすがに村上春樹は年季が入っているというか、古いものから最近のブニアテシヴィリまで、よく聴いてます。(小澤さんはブニアテシヴィリは知らないそうですが)
内田光子のベートーヴェン録音はそれほど好きというわけではないのですが、”音楽的な耳が良い”とか小澤さんが言っていたので、聴き直してしまいました。
ゼルキンとグールドのところはあまりよく覚えていませんので、しっかり読み直した方が良い気がしてきました。

ウィーン時代に彼の指揮したオペラ評をいくつか読みましたが、日本人指揮者には、本場でオペラをメインに演奏するのは、やはり荷が重いのかなという気がしました。(オペラは聴かないので実際どうなのかはわかりませんが)
ウィーン国立歌劇場は「摩伏殿」という人もいるくらいですから、日本人でなくてとも、音楽監督と指揮者をそつなくこなすのは至難の業なのでしょう。
2012.08.12 Sun 10:35 URL [ Edit ]

前半が面白いです。 - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
前半は村上春樹が自宅でレコードを楽しむシーンが中心で、このあたりが印象的です。ベートーヴェンの3番のコンチェルトを聴き比べるところで、グールドやゼルキン、内田などが登場します。なぜかシンフォニーではないところが面白いです。

ウイーン時代について、村上が「ウイーンは伏魔殿ではないか」というような質問をするのですが、小澤は「みんなそういうんだけど、そんなことはないよ」と答えていました。
ウイーンとのオペラの録音もそうですけど、管弦楽曲の録音をもっと聴きたかったですね。
やっぱり、伏魔殿なんですよ。
2012.08.12 17:33

ブラームスとベートーヴェン - yoshimi

こんにちは。ブラームスとベートーヴェンの話がとっても気になってしまったので、読み直しました。
今度はYoutubeにあった音源も聴きましたが、解説付きで演奏を聴くと、発見することがいろいろあって面白いですね。

ブラームスの第1楽章は、オケはどんより重たいですが、グールドのピアノは、スローテンポでもそんなに違和感ありません。
ブラームスらしいかどうかは別として、結構詩的です。こういう弾き方もわりと好きかも...。
第3楽章はテンポも遅くタッチも緩いので、躍動感がないところがやっぱり好みとは違いました。

ベートーヴェンの方は、テンポがまともで普通に聴けました。
小澤さんが言っているとおり(43頁)、他のピアニストなら付けないアクセントが入っているのが変わってます。これってオケへの合図なんですね。
ピアノの旋律の歌いまわしは口ずさむような独特のものがありますし、カデンツァもテンポは伸縮するし、左手の旋律がくっきり浮き出てきたりして、グールドらしい演奏でした。

ゼルキンの第3番の第1楽章は、オーマンディと録音した時も同じくらいに速いテンポですから、昔はああいうテンポで弾いていたんでしょう。
50~60歳くらいのゼルキンの演奏は、他の曲でもかなり気合い入ってましたから。

他に面白かったのは、カラヤンとバーンスタインの指揮のスタイルの違い。
カラヤンのことを「協奏曲でこれだけソリストのことを考えないで、シンフォニーとして堂々と演奏できる人は、まずいない」と言ってますが、カラヤンとコンチェルトを録音した若い頃のツィメルマンが、「大きすぎるズボンを履いているようだった」と後でコメントしたのを思い出しました。
ソリストがどう弾こうが意に介さず、カラヤンは自分の思いどおりに指揮していたので、リハーサルでツィメルマンは悩んでしまったそうです。
2012.08.22 Wed 17:32 URL [ Edit ]

バーンスタインとグールド - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。

ブラームス1は、バーンスタインがコンサート前に聴衆にたいして言い訳コメントを残していることで有名なものですね。中学のころLPが発売されたとき、急いでレコード屋さんに行ったことを思い出します。
聴いてみれば、そんなに騒ぐほど遅いわけじゃありませんね。3楽章の躍動感のなさはなんとも言い難いものがあり・・・。
ベートーヴェンは、切れ味のよい演奏だと思います。カラヤンと共演したライヴ録音もありますが、あれもいいものです。オーソドックスなグールドもいい。

ツィメルマンのコメントは面白いですねえ。シューマンとグリーグあたりのことを指しているのかもしれませんね。彼はDGでバーンスタインやらジュリーニやら大物指揮者とやっているので、なにか感じるものがあるのでしょう。

このあたりの録音はYoutubeにあるのですね。ゼルキンのベートーヴェン3は聴いてみたいですね(ゼルキンのCBS録音集、このあいだHMVのサイトをみたらすでに品切れでした・・・なんとかして入手したいものです)。
2012.08.22 18:08

ゼルキンのBOXセット - yoshimi

こんばんは。
HMV以外でもゼルキンのCBS録音集は手に入ると思います。
ゼルキンのCDはかなり分売盤で持っているんですが、BOXセットを買う気になるかもしれないので、調べてみました。

TowerRecords 8月24日リリース
「Rudolf Serkin Plays Beethoven concertos, Sonatas & Variations」

Amazon.JP 8/28 リリース
Rudolf Serkin Plays Beethoven Concertos
ASIN: B008MJQ442(DISC数:11)

amazonの場合は、リリース日以降に、海外の出品者がamazonよりも安い価格で出してくる可能性があります。(送料入れるとトータルコストはあまり変わらないかも)

もしかしたらHMVも、SONY(か取次ぎ店)に追加発注して、再び販売するかもしれません。(限定盤完売の場合、そういうケースがたまにあります)

ゼルキンの第3番は、オーマンディ指揮の音源がYoutubeにあります。バーンスタイン盤はないようです。(私の持っているのは、バーンスタイン盤のCDです)

ツィメルマンのコメントは、シューマンとグリーグの録音の時のものです。それ以降、2人は共演することはなかったようです。
お互い音楽の方向性が違うのがよくわかって、懲りたのでしょう。

バーンスタインは、ツィメルマンとブラームスのピアノ協奏曲を録音することになり、最初はピアニストが若すぎる..と嫌がっていたそうです。
でも、一度顔合わせをしてみると、すっかり気にいってしまい、ベートーヴェンのコンチェルト全集まで録音することになりました。
カラヤンはワイセンベルクがお気に入りでしたし、指揮者とソリストの相性というのは、面白いものです。
2012.08.22 Wed 23:48 URL [ Edit ]

明日ですね~ - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
調べていただいて、恐縮です。
BOXの内容を見ますと、持っていない演奏がけっこう多くあったので、これは聴かなきゃと思っておりました。
TowerRecordsの発売は明日なのですね。タワーは以前、マゼールのBOXでお世話になりました。普段はHMVで買うことが多いんですが、売り切れの場合はタワーが穴場です。
いざとなりゃamazonもありますね!

ゼルキンの第3番は、オーマンディですか。聴いてみますね。オーマンディも興味深い。
ツィメルマンのコメントは、シューマンとグリーグでしたか。昔に聴いたことがありますが、内容は忘れてしまいました。カラヤンの豪奢な鳴らせ方が目に見えるようです。
バーンスタインとのブラームスはLDで観ていました。なかなかいいブラームスだったと記憶します。ベートーヴェンは未聴です。
カラヤンはワイセンベルクとベートーヴェンなどを録音していますね。私はあのシリーズがけっこう好きなんです。
2012.08.23 09:17

HMVに在庫あります - yoshimi

こんにちは。
もう購入されたかもしれませんが、さきほどたまたまHMVのサイトをチェックしていたら、ゼルキンのBOXセットが「在庫あり」になってました。

Towerは取り寄せなので、HMVの方が少しだけ早く届きそうです。(HMVは送料がかかりますが)

http://www.hmv.co.jp/product/detail/5100569

amazonでは今まで2回予約しましたが、なぜか両方とも入手できなかったんですよね。マイナーな新譜だったからかもしれません。
2ヶ月前に予約したのに、発注量が少なかったのか、1つは入手不能通知でキャンセル。もう一つは発売後1ヶ月待っても入荷日が確定できなかったので、他で買いました。

何のために予約したのか、よくわかりませんね~。
以来、よほどメジャーな盤でない限り、amazonで予約するのはやめました。
でも、ゼルキンのBOXセットなら、プレス数も多いでしょうから、大丈夫でしょう。
2012.08.24 Fri 18:17 URL [ Edit ]

これはこれは! - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
ゼルキンのBOXセットが「在庫あり」になっていますね! 気がつきませんでした、情報ありがとうございます。
早速、発注しました(あと、ギレリスのBOXとオーマンディのBOX、いずれもCBSのマスターワークスを注文しました)。
「24時間以内」とあるので、遅くとも来週初めには届くでしょう。
ゼルキンのは、ベートーヴェンのソナタのいくつかとディアベリが重複するのですが、協奏曲は持っていないのでこちらに期待です。
楽しみにしています。
2012.08.25 08:36
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