ウェーベルン 管弦楽曲集 ドホナーニ指揮 クリーヴランド管弦楽団ウィリアム・ワイラー監督の「我等の生涯の最良の年」を観る。
第2次世界大戦に出兵した3人の男がアメリカに帰国し、その後の人生を描いた映画。
心理描写が繊細なので、登場人物がみんないきいきと描かれている、今となっては話は斬新なものではないが、1946年当時としてはけっこうショッキングに受け止められたかもしれない。
ディテイルの丁寧さが光る映画で、3時間近い時間があっという間に過ぎ去った。
ウェーベルンが「管弦楽のための6つの小品」を完成させたのは、1909年頃のことなので、昨日に聴いたマーラーの第9とほぼ同じ時期ということになる。
全体の色調はとてもよく似ていて、いかにも同時代を感じさせるけれども、構成やメロディーの感触は、もう全然異なっている。
この曲は全部で13分ほどであり、マーラーに比べるとコンパクトにまとまっているが、実は編成はこちらのほうが大きいのではないかと思う。時間的には省エネだが登場人物は多いので、地球にやさしいかどうかは微妙だ。
この曲には味のよい短編小説の風情があるけれど、とっつきやすいとはいえない。けれども圧倒的な切れ味の良さはなんとも斬新で、百年近く前の音楽と思いづらい。
この曲はなんといっても、4曲目のラングザームの長い長いクレッシェンドが聴きどころ。
この部分だけが突出して劇的だが、ドホナーニの演奏は、実に醒めていて、ひとごとのように冷静に淡々と音楽を進めてゆく。
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