藝大の奏楽堂に初めて足を運んだ。上野駅公園口から徒歩15分くらい、東京藝術大学の構内にある、定員1100名のホールである。
「ラ・ヴァルス」は、やや快速なテンポで押し切った軽い味わいのある演奏。アンサンブルに多少の乱れがあるのは、いかにもアイドリング状態という感じ。客席の入ったホールの響きと演奏者との、お互いの探り合いだ。
プーランクの協奏曲は、編成の割には渋い内容を持っていて、いまひとつ聴きどころがわかりにくい音楽だと思っていたが、こうして生を聴いてもそれは払拭できなかった。オルガンは終始気分よく鳴っているが、ティンパニはまるで刺身のツマのように、ひっそりと佇んでいる。音程のある楽器でありながら、ふたつみっつの音をボコボコ叩いているだけで、この曲においての存在意義がいまひとつわからない。
弦楽器はよくまとまっていて、ときに鮮やかな響きを醸し出していた。
ある音楽について、普段はCDで聴いているけれど、実際の演奏会に立ち会ってみると新たな発見があるものだが、この「シェエラザード」は、各楽器が順番に、ソロを披露している曲であることが改めてよくわかった。特に、第2楽章から、ファゴット、オーボエ、ホルン、フルートといった楽器がかわりばんこに主役に躍り出る。「管弦楽のための協奏曲」という副題をつけてもよさそうくらい。
それはだんだんと熱を帯びてきて、聴き手にも静かな熱狂の手ごたえが伝わってくる。
ここでは、トロンボーンとフルートとファゴットがとても達者で、プロの奏者と比べても遜色のないものだった。
松尾の指揮は全体的にメリハリをはっきりつけたもので、テンポはやや速め。ときに合奏が合わないこともあったが、この規模の編成の曲であれば1流のオケでもざらに乱れる。
コントラバスは8台、ヴァイオリンは5プルトの2管編成。こうした中規模のホールで「シェエラザード」を聴くことのできる機会は貴重かもしれない。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
一昨日に行った奏楽堂は、「新」のほうです。藝大の構内にあります。一方「旧」は昔の建物を何年か前に改修したものが、こちらは上野公園内にあり、昔の姿を再現した味わいのある建物です。
>一般的には日本の芸大はソリストを養成する機関
しかし女性の姿が目立ちました。6割から7割は女性で、弦楽器から、チューバ、大太鼓まで占めていました。綺麗な方も多く、目の保養にもなりました^^
ソロが目立つ曲をあえて取り上げたのかもしれません。個々の奏者の技量がよくわかりました。みんなうまいものです。アンサンブルに精緻さがかけるのは、オーケストラが専門ではないという理由もあるからなのでしょうね。
2007.12.02 11:16
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