レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィル池田清彦と養老孟司の「ほんとうの環境問題」を読む。
環境問題とはなんぞや。昔に流行った光化学スモッグや河川汚染なんていうのは、明らかに軽減しなければならない類のものであっただろうし、だからみんなも努力して改善していった。神田川に鯉がもどってきたよ、なんて子供心にも少しうれしいものだった。目に見えるような変化があった。
けれども最近言われている環境問題は、なんだかあやしい。この本を読んで、そのあやしさは確信に近いものになった。地球温暖化は大事な問題じゃない。むしろ問題なのは食糧なのである。
「日本の食糧自給率は現在、40パーセント弱である。つまり、60パーセント強の食糧を他国から輸入していることになるわけだが、実は食べ物全体の3割程度は食べ残しとして捨てられている。すなわち、有効利用されている食物は7割だけということになる。考えてみればこれはたいへんな無駄であろう。たとえ食糧の自給率を増やさなくても”全部食べる”ことを徹底しさえすれば食糧自給率は実質的に上がることになるわけだから」。
食糧の多くを捨てているのは、外食産業やスーパー・コンビニだろう。そこでひとつアイデアがある。それは、「消費期限」を何日か延ばすこと。これでけっこう改善されるんじゃないだろうか。ものによっては、1週間や1か月は全然大丈夫だ。ウチでは以前、冷蔵庫の奥に発見した半年遅れの焼き肉のタレを使ったことがあるが、誰も腹を壊さなかったものだ。自慢にならないけど。
モーツァルトの40番は、冒頭でレガートを効かせている演奏が好みだ。ワルター/ウイーンやジュリーニ/フィルハーモニア、カラヤン/ベルリン、あとメータ/イスラエルあたり。ピリオドではあまりやらないから、どうしても、ふた昔以上前の演奏を取ることになってしまうな。
このバーンスタイン盤も半世紀近く前の録音。しっかりレガートがきいている。お気に入りに登録だ。このやり方は時代の影響だけではなく、バーンスタインの見識なのじゃないかと思う。編成そのものはやや小さめのようだが、弾き方はこの時代のもの。年代的にはカビが生えていてもおかしくないが、これはブルー・チーズの芳醇なコクであり、オトナの味なのだ。
この演奏、カッチリとした弦楽器がひとつの聴きものであるけれど、それ以上に木管楽器が素晴らしい。喜びと悲しみの彼岸のような、なんともしれない深い絶妙な表情を湛えている。
ことに、2楽章でのフルート、ファゴット、クラリネット。そして、3楽章のトリオにおいての、端正なオーボエとうっすらとヴィヴラートがかかったファゴットとの絡みあい。トドメは、終楽章の柔らかなクラリネット。オーケストラを聴く醍醐味だと思う。
バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックによるモーツァルトを何曲か聴いたが、どれも予想を超えて素晴らしい。軽やかさと緻密さと、スプーン一杯のウィットに富んでいる。80年代のVPOとの重厚な録音よりも、こちらが好みだ。
1963年5月、ニューヨーク、マンハッタン・センターでの録音。
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「本当の環境問題」、面白かったです。具体的な数字を出して説得力があります。こういう本が出ているのに、なぜ世間では地球温暖化対策とかギャーギャー言っているのかわけがわかりません。
バーンスタインのボックス 良い演奏が多いですねえ。
このモーツァルトも、実に良いですね。とくに36,39,40は素晴らしいと思いました。参りました。