マーラー 交響曲第6番 クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団第1楽章のテンポは快速。速くて音が鋭いのでキレ味が豊富。ショルティのようにアクセントを強調したものではないが、響きが鮮烈である。各声部の鳴らせ方は緻密ながら、録音がいささか寸詰まりで、オーケストラの魅力を十全に捉えているとは言いがたい。静かな部分はきれいだけど、フォルテッシモに広がりがないのが残念。弦楽器の対抗配置が効果的で新鮮で、かつ奇妙。
第2楽章はスケルツォ。快速テンポは変わらない。速いけれど細部を掬い上げて明快に響かせるところも同じ。ティンパニのくぐもった響きを筆頭に、筋肉質でドライな管弦楽を楽しむことができる。そして、地の底のようなチューバの音!
第3楽章は、弦楽器の几帳面な弾きぶりが印象的。乾いた録音なので、流麗さよりも無骨さを感じる音であるが、なんとも誠実さを受ける演奏だ。
終楽章は、大量の全楽器が明確に濁ることなく、それぞれが分離して聴こえる稀有な演奏になっている。
ここにきてクーベリックはテンポを大きく変化させてくる。ゆっくりした部分の幅の広さ。速いところの推進力の強烈さ。
第1のハンマーは、唐突にやってくる。なにげない演出なので、あまりショックは受けない。第2のハンマーを経て、音楽は怒涛のようにつき進んでゆくが、オーケストラは冷静さを装いながら熱狂的に咆哮する。第3のハンマーの箇所は、音が弱いのでハンマーを使用していないのかもしれない。直後にキラッと光るチェレスタがすごい存在感を示している。
それにしてもこの演奏のなんという精巧さ、緻密さ! 同様のスタイルでは、その道の大家(?)であるセル、ショルティ、レヴァインをも上回るものだ。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
クーベリックのDGのマーラー、残すところ1、3、4、7番です。今年中は無理としても来年中には制覇したいと思います。
>クーベリックのマーラーは、小さな音でも充分に愉しめますが、ショルティやレヴァインの演奏では音を絞ると聞こえなくなってしまいます。
なるほど、言われてみればそうですね。実演を聴いていないのでわかりませんが、大げさなところのないクーベリックの美意識がそういう録りかたをさせているのかも知れませんね。
ショルティのマーラーも好きですが、クーベリックも聴けば聴くほど感心しないではいられません。
2007.12.14 22:45
クーベリックの悲劇的 - neoros2019
ハンマーは燃えますね。 - 管理人:芳野達司
neoros2019さん、こんばんは。
マーラーの6番を最初に聴いたのは、ショルティ指揮シカゴ響のレコードでした。そのときは、あまりピンとこなかったです。
その後、セルやバーンスタイン、レヴァインなどを聴いて、面白く感じるようになりました。シノーポリなんかも好きな演奏です。そうして、やはり、ショルティの演奏はよかったと感じるようになりました。
アバドの69年があるのですか。それは凄いでしょうね。アバドは若い頃のほうがいいと感じますので。
クーベリックのマーラーは、満遍なくいいですね。安心して聴くことができます。
2016.05.22 21:20
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