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若林暢のブラームス「ヴァイオリンソナタ第2番」

2007.12.15 - ブラームス
wakabayashi

ブラームス ヴァイオリン・ソナタ全集 若林暢(Vn) カスリン・スタラック(Pf)


若林のヴァイオリンの音色は多彩だ。強い音は松脂が飛び散るような激しさで弓が弦の上を疾走しているかのようであり、弱音は夜に舞い落ちる牡丹雪のようにそうっと、でも確かな響きを醸し出す。
ひとつとして同じ音はないかのように、全ての音が局面によって異なる光を放っている。
どこがどうすごいというのは難しいけれど、どの音域においても、木の濃厚な芳香でむせかえる。
2番のソナタは、ブラームス特有の、うちにこもった傷つきやすくて脆い心がさりげなく自然に発露した名作であるが、若林はこれを実に丁寧に歌い上げる。色鮮やかであるけれど、いろいろな表情が折り重ねられていて、複雑な、一本縄ではいかない音楽になっている。

若林のことは、先日に行ったコンサートに出演していて、初めて知ったのだ。それで気に入り、後日、たまたま中古屋でこれを見つけて購入した。いまは廃盤になっている。このヴァイオリニスト、録音が少ないのであまり名は知られていないが、もっと知られても良いソリストのひとりだと思う。
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Comment

無題 - rudolf2006

吉田さま お早うございます。

若林さん、まったく知りませんでしたので、グーグルで検索しました。すると、ブラームスのヴァイオリンソナタの全集が初CDみたいですね。
廃盤ですね。HMVでアイヴズのCDが一枚出ているくらいでしょうか。
最近は、CDも再発物ばかり、新譜というものが減っていますね。それに、日本の演奏家によるものも少ないですね。
吉田さんの文章を読んで、聴いてみたくなったのですが~。

あるサイトで、CDのレビュー(日本の演奏家のCD)を書いたのですが、少し厳しいことを書いたら、掲載されませんでした、爆~。

ミ(`w´)彡
2007.12.16 Sun 08:23 URL [ Edit ]

Re:rudolf2006さん、おはようございます。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

私も若林さんを知ったのは、先日の演奏会ででした。CDも少ないしコンサートも多くないのですが、会社の上司に教えてもらいました。
あとはアイヴズが出ているくらいではないでしょうか。全然聴いたことがないのでいつか挑戦したとは思っています。なかなか面白いソリストなので機会があったら聴いてみてくださいね。

>あるサイトで、CDのレビュー(日本の演奏家のCD)を書いたのですが、少し厳しいことを書いたら、掲載されませんでした、爆~。

(笑)そうでしたか。宣伝ならともかく、よい評価だけがある演奏なんてなかなかないですよね。
2007.12.16 09:50

無題 - 細見康彦

私はアマのVn弾きです。若林さんのことはよく知らなかったのですが、生演奏を聴きもう“ビックリ”しました。こんなすい演奏家が日本にいたのか!これが本当の音楽だ!(子供までよく聴いていた!それほど惹きつけるものがあるということです)ブラームスは本当のブラームスらしく、チゴイネルワイゼンは魅力たっぷりに、アマティーの太い音色がもう唸っていました。CDや演奏会が少ないので知らない方が多いのではないかと思いますが、世界レベルでも勝負できる実力家です。音楽を愛する人、味わいのある音楽を聴きたい人は是非コンサートにお出かけになることを自信を持って薦めます。きっと、本物の音との対話に出会えます。(こんなに音楽観が一夜にして変わるくらいの経験をさせてくれる演奏家はそんなにいません。)…西洋音楽は日本音楽とリズムも音階も異なり、やはり日本人には距離にあるものだと常々思っていたのですが、そんな思いは誤解であると思わせるほど若林さんの音楽が活き活きと流れています。こんな時間はこれからどれだけ持てるだろうか?終わって欲しくない!と思いながらの演奏会でした。本当におすすめです!
2008.07.27 Sun 19:28 [ Edit ]

Re:細見康彦さん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

コメントありがとうございます。

若林さんのことは、会社の元上司に教えてもらいました。彼の娘さんがヴァイオリンをやっていて、ときどき若林さんのレッスンに通っているということで名前を知りました。
彼女によれば、日本では圧倒的にすぐれた教師でありソリストだということです。

そういう縁があって、昨年、彼女が主宰するコンサートに行きました。ヴィヴァルディの四季とメンデルスゾーンの八重奏曲でした。
若林さんのヴァイオリンは、骨太でパワフルで、しかも自在なものでした。ヴィヴァルディの音楽がこの時代に生き生きと蘇る演奏でありました。

ブラームスのソナタも、どれも甲乙つけがたいいい演奏です。彼女は録音も演奏会も少ないために、あまり名は知られていないかもしれませんが、トップクラスの演奏家だと思います。同感です。
2008.07.27 20:22
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