ベートーヴェン「田園」 クルト・マズイ指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管早坂隆の「世界のイスラムジョーク集」から、イランのジョーク。ちょっと長いけど、面白いので紹介する。
イギリス人とアメリカ人とトルコ人の乗った船が難破して、三人はどこかの島へと流された。そこは凶暴な民族がいる島だった。その民族の族長は、三人を前にして言った。
『これからジャングルの中へ入って、一人十個のフルーツを探してこい。そして、そのフルーツをすべて尻の穴に入れることができたら助けてやろう。だが、もしできなかったり、途中で泣き出したりしたら、すぐに処刑するからな。さあ、助けてほしかったら、早くフルーツを探してこい!』
三人は一斉にジャングルの中へと消えて行った。数十分後、まずはイギリス人が戻ってきた。手には十個のオレンジを持っていた。
『それでは始め!』
一つ目のオレンジがイギリス人の尻の穴に入れられた。イギリス人はあまりの痛さに思わず涙をこぼしてしまった。それを見た族長は言った。
『それまで! こいつを処刑せよ』
イギリス人は殺されてしまった。
続いてアメリカ人が戻ってきた。手には十個の木いちごを持っていた。族長は言った。
『それでは始め!』
木いちごは一つずつ尻の穴へと入っていった。アメリカ人はよく耐えていた。九つの木いちごが入り、いよいよ最後の十個目という時、アメリカ人は突然ゲラゲラと笑い出してしまい、思わず涙がこぼれてしまった。それを見た族長は言った。
『それまで! こいつを処刑せよ』
アメリカ人は殺されてしまった。
天国へと着いたアメリカ人は、そこで待っていたイギリス人にこう聞かれた。
『あとたった一つというところだったのに、どうして笑ってしまったんだい?』
アメリカ人は首を大きく横に振りながら答えた。
『だって、あのトルコ人が十個のパイナップルを持って走ってくるのが見えたから・・・・・』
久々に聴くマズアの演奏は、ベートーヴェンの「田園」。
ゆったりとしたテンポによる流麗な田園。ゲヴァントハウスの音色は、くすんでいて渋い。皮の匂いがするティンパニはいい感じだが、その他の楽器は、余人をもって代え難いほどではないように思う。
とは言うものの、全体的におっとり・しんなり、浮世離れしているというか、無気力な高校生みたいな風情があって、面白い。
マズアといえば、何年か前にニューヨーク・フィルと来日したときの映像を思い出す。
「新世界から」の最後に音が消えゆく場面だった。そこでは、指揮者が団員に投げキッスをしている姿が大写しになっていた。
当時は、これは放送禁止ではないかと訝ったが、今思えばNHKのジョークだったんだな。
1973年、ドレスデンでの録音。
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