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ブレンデル、ラトル、ベートーヴェン"1番"

2016.10.22 - ベートーヴェン
ma




ブレンデルのピアノ、ラトル指揮ウイーン・フィルの演奏で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲1番を聴く(1997年12月、ウイーン、ムジークフェラインザールでの録音)。

これは軽やかで爽快な演奏。
まるで短く刈り込んだばかりの青々とした芝生のよう。

ラトルの指揮は、少しピリオド奏法を意識したものと思われ、音を短く区切って、サクサクと進む。演奏時間よりも、速いテンポに感じる。ヴァイオリンも対抗配置。ただ、モダン楽器でありヴィブラート奏法なので、豊満さはある。
ブレンデルの弾き方もそれに平仄を合わせたかのようで、軽くてデリケート。70年代にハイティンクと演奏したものとは、趣が異なる。

1楽章の9:00あたりのところ、静かな場面からピアノが急下降するところで、一拍おいて弦が入るところは初めて聴いた。スコアはどうなっているのだろう。いままで聴いたものももしかしたら弦が鳴っていたのかもしれないが、とにかく、この演奏ではそれが明瞭に聴こえる。
長いカデンツァでは、ブレンデルがたっぷりと潤いのあるピアノを聴かせてくれる。
2楽章はブレンデルの厚みのあるピアノが聴きどころ。ここではラトルはひたすら引き立て役に回る。
3楽章は速い。出だしのピアノのフレーズは、いつも聴くものと異なる。なにがどう違うのか説明が難しいのだけれど、リズムが微妙に揺れていて、なにか含みのあるような。ブレンデルのことだから、考えがあってのことだろう。
ラストは勢いよく締めくくられる。






ma
 
駐車場。








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Comment

快活で優美なブレンデル - yoshimi

こんにちは。
多彩な音色と、快活さのなかにも優美さがあって、3つ目のピアノソナタ全集と同様、この時期のブレンデルらしい演奏だと思います。
特に緩徐部分の弱音がネットリしていて、これはちょっと苦手です。(第3番もかなりネットリ暗い音でした)
一番好きなのは、優美な第4番です。珍しくブレンデルが自作カデンツァを弾いてます。

第1楽章9:00で、ピアノがソロで下行スケールする部分について。
なぜか、楽譜よりも1小節早く、オケとピアノの低音が同時に入っています。
普通は、ピアノの下行スケールの途中で、管&弦(計7パート)がピアノの低音(フォルテ)と同時に入りますが、ピアニッシモとピアノの指定なので音量が小さいです。
そのため、ピアノがフォルテで弾くスケールと低音にかき消されて、弦はほとんど聴こえません。管の方はクレッシェンドするので、なんとか聴こえます。
なので、ラトルのように早く入った方が、音量的にも演奏効果的にもいいですね。スケールの後ろの方では管楽器の音が聴こえてきます。

第3楽章冒頭は、楽譜の違いはなく、ブレンデルの弾き方がちょっと変わってます。
アウフタクトで始まる最初の8分音符を長く引き延ばして、次小節最初の16分音符を装飾音のように短く速く弾いてます。曲の途中でも同じパターンのところは、程度の差はありますが、同じ弾き方してます。
でも、オケは普通に弾いているので、ブレンデル独自の解釈でしょう。アウフタクトであることを強調したかったのかもしれません。
2016.10.22 Sat 12:53 URL [ Edit ]

ご丁寧にありがとうございます! - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
緩徐部分の弱音がネットリ、たしかにここらは好みが分かれるところかもしれませんね。ここは、わりと気に入りました。
第1楽章9:00は1小節早く入っているのですね。なるほど。この曲をいくつか聴いてきましたが、ああいうのは初めてです。面白い工夫だと思います。第3楽章冒頭はやはり変わっていますか。なんかハッキリしない、ぼやけた印象を受けました。ただ、オーケストラとの対比は明確になっています。
それにしても、ふたりともなかなか、ひねっていますねえ。
あとの曲を聴くのが楽しみです!
2016.10.23 12:27
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