カラヤンのベートーヴェン交響曲第9番を聴く。
これは、1979年に東京の普門館で行われたライヴ録音。
中学の友達のKがこれを聴きに行った。羨ましかったことを覚えている。
演奏の内容は、絶頂期のカラヤンの凄みをあますところなく伝えた記録となっている。
普門館の音響は劣悪と言っていいが、残響のほとんどない響きが逆に凄みに拍車をかけている。また、そんな録音環境だから、演奏の瑕疵は普通以上に目立ってしまうもの。だが、ここでのベルリン・フィルのうまさは、そんな環境をものともしない。じつに巧みである。本来持っている音色の味わいや匂いは薄いものの、どの音もしっかりと鳴っている。力強く、まっすぐだ。
3楽章までは、いままでのセッション録音のスタイルと大差ないが、終楽章に入ると白熱する。喜びの歌の伴奏のファゴットがなんともいい。そして合唱が素晴らしい。
楽友協会合唱団を日本に連れてきたいきさつは、眞鍋圭子の「素顔のカラヤン」に詳しいが、わざわざ来てくれただけのことはある。広がりがあり、緻密。オケとのバランスも完璧。コクのあるハーモニーをぞんぶんに堪能できる。
ラストは怒涛の勢い。全ての音が沸騰している。この盛り上がり、尋常ではない。ライヴのカラヤンの実力を見せつけられる。
こういう演奏を聴くと、カラヤンとベルリン・フィルとの最盛期は、つくづく70年代だと思う。
いまだに、Kはこのコンサートのことを自慢する。困ったものだ。
カラヤン指揮ベルリン・フィル
ウィーン楽友協会合唱団
アンナ・トモワ=シントウ(ソプラノ)
ルジャ・バルダーニ(アルト)
ペーター・シュライアー(テノール)
ホセ・ヴァン・ダム(バス)
1979年10月21日、東京、普門館でのライヴ録音。
キングスパークのユーカリの並木を通り抜け。
森に分け入り。ワイルドフラワーの様子をチェック中。
まだ蕾。春の日の出待ち。
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