ケーゲル指揮ドレスデン・フィル/ベートーヴェン交響曲第4番 昨日から、頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。
ベートーヴェンの第4の終楽章である。わけもなく、いや訳はあるのかも知れないが、こうして突拍子もなく、ある音楽がずっと頭をついて離れないことが、よくある。それが今回はたまたま第4だったわけで、今日はそのほかに「眠りの森の美女」の序奏部だとかラフマニノフのパガニーニ変奏曲が流れていた。
夢を現実の願望の充足とするフロイトの「夢判断」みたいに、この現象にもなにか要因があるのではないだろうか。
スーパーの魚売り場を覗いていて、帰り道に「サカナサカナサカナー」というメロディーが頭について離れないことは良くあるが、そうように直接に働きかけるものではなく、まったく忘れていたメロディーがいきなり表れてくることもある。そのほうがむしろ多い。
現実世界の些細な出来事がどういうふうに音楽と関わってくるのかは、さっぱり見当がつかないが、もしかしたら、外を歩いて耳にする電車の音とかヒトの話し声などがもっている音程とかリズムが、過去に聴いた音楽を呼び起こさせるのかも知れない。
近所のおばさんの挨拶の声は、どこかの場面のピッコロの音に似ているとか、電車が線路の切れ目を通過するときのリズムが、ある音楽のティンパニーの響きにそっくりだとか。
そういうわけで、ベト4。ケーゲルは「歓喜の歌」でも葬送行進曲みたいにしてしまう稀代のネクラ指揮者であるので、私はけっこう好きである。
このヒトは昔、東京都交響楽団によく客演に来ていて、その当時に都饗の会員だった私は聴く機会があったのだが、何か急な用事があって行くことができなかった。とても残念である。
そのときはまだケーゲルは変態扱いされていなくて、新ウイーン楽派をよくやる、通好みの指揮者とされていたと思う。
この第4は彼の全集からのもの。低弦は良く鳴るし、ヴァイオリンは艶やか、フルートを始め木管も冴えている。録音も良い。この第4はよく、ワルターやベームなどの「ゆったり路線」と、ムラヴィンスキーやC・クライバーの「快速路線」とに大別される。
ケーゲルのはテンポは中くらいであるが、味わいは淡麗辛口である。3、4楽章を聴いても、ちっとも浮き立つ感じじゃなく、ハードボイルドな口当たりである。全体的に特に目立つ箇所はなく、淡々と音楽は流れてゆく。★音楽blogランキング!★にほんブログ村 クラシックブログ無料メルマガ『究極の娯楽 -古典音楽の毒と薬-』 読者登録フォーム
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ケーゲルの第9はユニークです。ひとつひとつのテンポや楽器の鳴らせ方を取ると、特に変わったことはしていないのに、全体を通して聴くと、なんだか不思議なあと味が残ります。
第4もそういう演奏でした。
全集はかなり廉価で入手しました、お勧めです。
みー太さんのベートーヴェンの「第9シリーズ」、楽しく読ませてもらっています。