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デュトワのベルリオーズ「イタリアのハロルド」

2006.07.10 - ベルリオーズ
デュトワ/イタリアのハロルド

シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団
ベルリオーズ「イタリアのハロルド」 他



パガニーニがベルリオーズに、「ヴィオラ協奏曲」として作曲を依頼したが、途中経過をみて「ヴィオラの出番が少ないじゃん!」というようなことを言って、失望してしまう。
もちろんベルリオーズは、そんなことでは挫けない。せっかく途中まで書いたので「ヴィオラ独奏つき交響曲」として再度練り直した、といういわくつきの曲である。
現在では、このやり取りが本当にあったのか疑問視する声もあるようだが、話としては面白い。
ベルリオーズとパガニーニが一緒にいるところを見てみたいものだ。
両者ともアクの強いヒトであったから、会話は弾まないことだろう。
もちろん、髪型についても、お互い対抗意識を持っていたに違いない。
ふたりが議論している2つ隣くらいのテーブルで、ビールを飲みながら、なま暖かい目で眺めてみたいものである。


パガニーニ

ニコロ・パガニーニ

ベルリオーズ

エクトル・ベルリオーズ


さてこの曲、前半はヴィオラの活躍の場は多いが、だんだんと尻つぼみになっていき、終楽章にいたっては、ほとんど刺身のツマのような扱いである。
パガニーニの不満もわかる。
スタジオ録音ならば出番のないときに「王さんの病状が心配ですなー」などといいつつ一服していればいいだろうが、コンサートでは、居心地悪いだろうな。
マーラーの「復活」や「第四」の歌手ならば、出番は最後なので、途中からの出演も可能だが、「イタリアのハロルド」でのヴィオラは、むしろ前半に出番が多い。
終楽章にもチョビッと演奏しなきゃいけないわけだから、たちが悪い。
もしかしたら「シェエラザード」の独奏ヴァイオリンよりも出番が少ないのではないだろうか。
どちらの出番が多いのか、ここはひとつ堀井憲一郎に調べてもらいたいものだ。

堀井憲一郎さんについて

でも、これは一応交響曲なので、ヴィオラの出番が少なくても、文句を言われる筋合いはないのである。

デュトワの演奏は、めくるめく色彩感が眩い。ベルリオーズの管弦楽の妙味をこころゆくまで堪能できる。激情は控え気味。
関東の夏の、じわじわ迫りくる太陽ではなく、カラっと晴れた南欧の輝きのよう。
ズーカーマンのヴィオラはうまいが中庸に徹している。この曲が交響曲であって、ヴィオラ協奏曲ではないことを熟知した弾きぶりで、オーケストラとのバランスがとてもいい。

なお、このCDには序曲「ロブ・ロイ」が収録されている。
「イタリアのハロルド」の習作ともいうべき作品で、「ハロルド」の旋律が頻繁に出現する。
名曲ではないかも知れないが、ほのぼのしていて、捨てがたい曲である。




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Comment

無題 - ピースうさぎ

Rシュトラウスにも「イタリアから」という曲があったと思いますが、こっちもシュトラウスのほかの曲よりかなり演奏頻度が低いですね。
作曲家はイタリアをなぜか好きになってしまうのですね。
2006.07.11 Tue 21:03 URL [ Edit ]

無題 - 吉田

ピースうさぎさん、こんばんは。
「ハロルド」は、一度生で聴いてみたい曲のひとつです。
作曲家には、イタリアに憧れるヒトが多いようですね。ブラームスやチャイコフスキーなどなど…。「ローマの休日」もイタリアが舞台です。関係ないですね(笑)
2006.07.11 Tue 21:31 URL [ Edit ]
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