ゲーナ・ディミトローヴァのタイトル・ロール、ダニエル・オーレン指揮ジェノヴァ・テアトロ・コムナーレ管弦楽団・合唱団の演奏で、プッチーニの「トゥーランドット」を聴きました(1989年1月、ジェノヴァでのライヴ録音)。
寡聞にしてあまり期待していなかったけれど、これは名演だと思います。
録音はライヴであり、いささかデッドなのだけど、歌手もオーケストラも合唱もとても達者なため、精緻さを感じます。荒っぽくない。
このオペラといえば何と言ってもトゥーランドット姫の出来に命運がかかっているといっても過言ではないと思いますが、ディミトローヴァはその破壊力において、今まで聴いた3本指にいれたい(あとのふたりは、ニルソンとボルク)。すごくとんがった姫でありますが、面白い。
ガスディアのリューはすこし硬めな感触があるけれど、声そのものはキッパリしていて美しい。気の強いリューです。
マルティヌッチのカラフは、やさ男。線の細さはマゼール盤のカレーラスを思い起こします。パワーはないぶん、繊細さで勝負。もっとも、カラフってそんなキャラなのかもしれません。
オーケストラはドライな残響と相俟って、バリッとした音を聴かせます。出だしからティンパニはドスが効いていて、すきっ腹に響きます。初めて聴くオケですが、うまいものだと感じました。
ゲーナ・ディミトローヴァ(トゥーランドット)
ニコラ・マルティヌッチ(カラフ)
チェチリア・ガスディア(リュー)
ロベルト・スカンディヌッチ(ティムール)
ジャンカルロ・セッカリーニ(ピン)
トゥリオ・パーネ(パン)
ピエロ・デ・パルマ(ポン)、他
パースのビッグムーン。
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