宮崎駿監督の「魔女の宅急便」を観る。
大学の頃に、ビートルズを聴いたことがないと言ったら、「あんないいものを聴いていないのか」と咎められた。
つい最近、宮崎駿の映画はあまり観たことがないと言ったら、「いままでなにをしていたのよ」と詰られた。
ビートルズは未だに聴いていない。今後も、よほどのことがないと聴かないだろう。
それに対して、宮崎のほうはとても観たくなった。人は結局、良くも悪くも勧められたものよりも自分の判断で物事を決めるものだ。
昨年、「風立ちぬ」と「かぐや姫」を封切で観た。両方ともよかったので、前の作品も観たくなったのだ。
これは、13歳になった魔女が修行のために、知らない町へ行って仕事をする話。
一人暮らしの不安や焼きもちなどが日替わりでかけめぐる。思春期の少女の気持ちが端的にあらわされているので、面白いけれどときどきウザい。
途中の、なんということはなさそうなエピソードで登場した飛行船が、ラストで大きな効果をあげているのは、あなたもご存じのとおり。
観終わった後、パンをむしょうに食べたくなった。
バリー・ダグラスのピアノ、スクロヴァチェフスキ指揮ロンドン交響楽団の演奏で、ブラームスのピアノ協奏曲1番を聴く。
ダグラスは、1986年のチャイコフスキー・コンクールの優勝者。イギリス人としてはオグドンに続いてふたりめだという。
このコンクールの優勝者は、たいがいが剛腕の持ち主だ。選考会で弾く曲がパワフルであるから、応募する人たちの多くはそういった素質を持つのだろう。
ダグラスも例外ではない。躊躇なくバリバリと弾きこなす。ゲイリー・グラフマンや、一時期のラザール・ベルマンを彷彿とさせる。
気持ちいいほど、よく鳴らせている。終わった後のビールがうまそうだ。ただ、技術は高いし音も綺麗であるいっぽう、全体的にやや一本調子の感がある。よって、このディスクの聴きどころは、どちらかと言えばオーケストラ。
ロンドン交響楽団がやったこの曲では、ジュリーニの指揮によるもの(ワイセンベルクがピアノ)を思い出す。70年代のジュリーニとしては異例なくらいに激情的な演奏である。冒頭から、血管がプッツリとキレたような、荒れ狂ったものであり、とても印象的である。
スクロヴァチェフスキの指揮はそこまでではないが、じゅうぶんに気合いの入ったもの。そして、ときおりみせる強弱のニュアンスがとても豊か。誰もやったことのない技を、サラリとしてのける。それがじつに効果的。
堂に入った管弦楽である。
1988年、ロンドンでの録音。
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