ブラームス ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 シュナイダーハン(Vn) シュタルケル(Vc) フリッチャイ指揮ベルリン放送交響楽団小川洋子の「博士の愛した数式」読了。キーワードは、素数と江夏。素数の不思議さ、面白さは私のような、普段数学に縁のないものでも感じることができたし、その明快さは感動的ですらあった。
また、江夏をはじめとして野球好きにはたまらない話題が、スパイスのように効いているのも読みどころ。
安西徹雄訳の「ヴェニスの商人」をやっと読了。断続的とはいえ2ヶ月かかった。古典を読むのに時間がかかるのは、内容の濃さということもあるけど、作品そのものが当時の知識人を対象に作られたものだからじゃないかと思う。半分いいわけである。
これはユダヤ人とキリスト教徒との怨恨を描いた作品で、喜劇とされているが、内容はシリアス。
この二者の確執は漠然とはわかる。ヨーロッパの作品にはこの手のものが多いから、理屈ではわかったつもりでも、感覚的・体感的にわからない。
「ユダヤ人」という定義に対する不明快さ、私にはわかりづらい。
さて私はブラームスの二重協奏曲という曲をあまり好きではない。彼特有のしつこさが、ここでは満開に咲き乱れており、編成の重さもそれに輪をかけていて、聴いていてつらくなるのだ。
無性にこの曲を聴きたくなったのはなぜかわからない。ときどき脂のたっぷり乗ったステーキや焼肉を食べたくなるようなものか?
フリッチャイの指揮するこの演奏は、比較的軽いほうに属するのじゃないかと想像する。
ガリガリと鳴らすというより、抑制のきいた音つくりになっていて、ソロとのバランスも絶妙、用意周到といえる。
シュタルケルのチェロがまた抑え目。もっと自己主張するやりかたもあるのに、管弦楽の一部みたいになにげない。表情がきめ細かい。
シュナイダーハンは輝かしい音を聴かせる。だいたいこの曲は、ヴァイオリンの音の大きさが目立つのだが、ここでも例外ではない。解釈は楷書体であり、オケとチェロと調和していて、やはりうまく管弦楽に溶け合っている。
主役の三者のベクトルが一致した、いい演奏だと思う。PR
無題 - rudolf2006
Re:rudolf2006さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
映画のほうはまだ観ていないのです。上映は終わってしまったようなのでDVDを借りてこようかと。
友愛数ありましたね。言われてみれば納得で、ああいうふうに説明してくれると数学は面白いものですね。
「ユダヤ人」の定義、ヨーロッパの歴史や文化に接するときに無視できないと思うのですが、腑に落ちる解説を読んだことがありません。キリストもユダヤ人だと言われますし、よく分かりません。
確かにブラームスは暑苦しいですね。『ドッペルコンチェルト』は特に。昨日はどうしてそういう気分になったのかわかりませんが、とてもいい曲に聴こえました。ワルターのもよさそうですね。
2007.09.03 13:02
無題 - neoros2019
Re:neoros2019さん、こんにちは。 - 管理人:芳野達司
コメントありがとうございます。
ブラームスには陰にむかう切れ味がありますね。聴くときの気分にもよって良く聴こえたり、重すぎてだめだったりすることがこの作曲家にはあります。
ことに、この二重協奏曲は、ブラームスの重さが顕著に出ている曲なのじゃないかと思っています。
フリッチャイの演奏は、セルほど立派ではないかわりに、軽やかな味があって、この曲では1番よく聴きます。
>昨日、自分のブログにブラームス物を一気にアップしようと試みて
拝見するのを楽しみにしています。
2008.06.14 15:18
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