アンゲリッシュのピアノ、カプソンのヴァイオリン他による演奏で、ブラームスのピアノ四重奏曲2番を聴く(2007年12月、スイス、ルガーノでの録音)。
この曲は、ブラームス20代後半の作品。着想そのものは、1番とともに1855年ころだとされている。この演奏だと51分強かかるから、長さは室内楽として最大クラス。
渋い曲想のなかにも、明るい灯がそこかしこにともっている。計り知れない希望を胸にする青年ブラームス。
1楽章の主題は、煮え切らず、はっきりしないのにも関わらず、不思議と魅力的。いかにもブラームスの手によるものといった感じ。演奏はヴァイオリンを中心に、適度な潤いがあって、とても伸びやか。
2楽章は、たゆたうような弦楽器にのって、ピアノが抒情的な旋律を奏でる。後半は、弦楽器が甘い旋律をこれでもかというほどに歌わせる。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの溶け合う響きが、こよなく美しい。
3楽章は、カプソン兄弟による、ヴァイオリンとチェロとの空気を切り裂くような弾きぶりが、なんとも鮮烈。全体的に、ほの明るい色調。
4楽章の出だしは、ハンガリーあたりの舞踏音楽のよう。いたって快活。その後、いろいろなメロディーがめくるめく展開する。切れのある弦楽器がいいし、落ち着いたトーンのピアノも聴きごたえがある。
ルノー・カプソン(ヴァイオリン)
ジェラール・コセ(ヴィオラ)
ゴーティエ・カプソン(チェロ)
ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)
パースのビッグムーン。
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