バルトーク 管弦楽曲集 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団
松本人志監督の「大日本人」を観る。
大日本人の本名は「大佐藤」さん。日本各地に現れる怪獣と戦うことを使命としている家系である。
「自衛隊のほうがいいのじゃないか」との意見が多く、評判はいまひとつ。
赤い怪獣にさんざんやられて、あげくのはてに逃げ去ってしまったときは、皮肉にも視聴率が今までで一番高かった。
各方面から再戦を望まれていたとき、再び赤い怪獣が現れる。たちまちピンチに陥り、老人ホームに入居していた4代目が助けに来るが…。
松本のコントを彷彿とさせる掛け合いがところどころにちりばめられていて、笑える。
ただ、全体的にちょっと冗長で、2時間弱がけっこう長く感じなくもない。
フランスで上映されたときは散々な評判だったらしい。フランス人に関西弁の味はわからないからね。
この曲に、アンセルメの演奏があるとは長らく知らなかった。
私にとってアンセルメといえば、フランスとロシアもののスペシャリストというイメージが強く、ハンガリーの音楽を残しているとは思わなかった。
もっとも、レコード録音を大量に残しているヒトだから、なにをやっていても驚くほどのことじゃないかもしれないけど、まるまるCD二枚分残していれば、なかなかのバルトーク演奏家といえる。
この弦チェレ、先日に聴いたオケコンに負けず劣らずユニークな演奏だ。
今までこの曲が、こんなにほんわかと暖かく演奏されたことがあったのだろうか。
3楽章は、キューブリック監督の「シャイニング」に使われた(neoros2019さん情報ではカラヤンの演奏とのこと)が、白い静謐な映像と相俟った、雪のようなひんやりと冷たい感触の音楽がとても印象的なものだった。
でも、このアンセルメの演奏は「シャイニング」には合わないのじゃないかと思う。
あたかも、ぽかぽかとしたお日様を存分に浴びた樹のように、じんわりと温度の高い演奏なのだ。先鋭的というよりは、ヒューマンな感触。
個々のソリストの技量は高いものの、合奏はギチギチとしていないところが、かえって色彩豊かな味を出しているようだ。
この演奏も、「オケコン」に負けず劣らず面白い。
1957年5月、ジュネーヴ、ヴィクトリア・ホールでの録音。
PR