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マリナー指揮アカデミー管/チャイコフスキー、ドヴォルザーク「弦楽セレナード」ネヴィル・マリナー。70年代から80年代のクラシック音楽シーンにおいて欠かせないヒトだ。
いわゆる通俗的な名曲と言われるものをたくさん残したが、そういう通からは少し馬鹿にされるような曲に対しても、たっぷり愛情を注いで、レコードに残した。
そして、また彼のレコードはよく売れた。日本でクラシックのレコードは2,3千枚売れれば普通と言われたころに、マリナーのは1万は売れた。とは、当時の雑誌記事の記憶。あまり定かではないけど。でもそういう話が出ることが、すでにマリナーの非凡さをあらわしていたのだ。
彼は、何度か東京フィルを振ったことがあると思うのだが、そのうちのひとつを聴いた。
70年代の後半から80年代の前半にかけて、私は東京フィルのコンサートチケットはことごとく入手できたのである。
当時は東京の実家でごろごろ寝そべったり学校へ行ったりしていたのだが、その2件隣に東京フィルの事務局のヒトが住んでいたので、母親のつてで定期演奏会はおろか、名曲コンサートなど、東京で催される演奏会にもれなく招待してくれたのだった。
言うまでもなく、これは自慢話である。でも今の私には、昔のことしか自慢するものがないからいいのである。
今は自慢どころか愚痴しか出ないので言わない。言えない。だから当然、「昔はよかった」といいまくるし、さらには「今のワカモノはダメですなー」なんていうコテコテのセリフも、ぜひ覚えていかなきゃと思っている次第である。
話はそれたが、そう、マリナーの演奏を聴いたのも、その中のひとつ。
演目は、ブリテンの「4つの海の間奏曲」やメンデルスゾーンの「イタリア」など。
当時の彼はアカデミー・オブ・セントマーティン…で小編成の曲しかやらないと思っていたので、この組み合わせは意外だと思ったものだ。
演奏がどうだったかはよく覚えていないのだけれど、東フィルの柔らかくて重みのある弦を基調にしたまろやかな味わいのあるものだったと記憶する。
楽屋口でサインをもらったときも、私のような生意気なガキに対しても笑顔を絶やさない彼は、なんて偉いヒトだと感激して帰ったものだ。
だから、今でも私のなかでは、英国紳士といえばマリナーなのだ。
で、マリナーといえば弦楽セレナード。ほかにもいいものが多いけれど、今日はこれにしましょう。
ドヴォルザークのセレナードは管楽向けのものもあるけれど、弦楽合奏のほうがより親しみやすい。
この曲にはこの演奏があればいい、と思わされる類の演奏だ。奇をてらわない、中くらいのテンポ、そして弦の音がしっとりしていていい。
冒頭からひどく懐かしい。この懐かしさはなんなのだろうと思っているうちに、音楽がどんどんと進んでゆくし、進んでいる間もやはり懐かしい。
ドヴォルザークの曲は、なんで聴き手を懐かしがらせるのか?
毎回疑問に思うのだが、これが音楽のもつ大きな力なのでしょうね。
今夜はこの曲で撃沈します。PR
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