リヒテル(ピアノ) マタチッチ指揮モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団グリーグのピアノ協奏曲を聴いていつも思い出すことがある。シューマンの亜流である、というような吉田秀和の言葉である。キチンと引用すると「これはシューマンのそれにならったもので、別にわるい作品とはいわないが、いかにも亜流だ」(LP300選)というもの。そう言われると、曲の構成といい、規模といい、匂いといい、このふたつの曲はまるで双子の兄弟のように似ている。それぞれ1楽章の主題なんかも瓜二つだ。作曲時期は、シューマンが1845年、グリーグが1868年。これらを考慮すると確かに、悪い作品ではないけれどシューマンの二番煎じだよね、という評価もわからなくはない。
といいつつも、グリーグの曲には、たまに無性に聴きたくなる抗し難い魅力もまたある。果実のシャーベットのような、たっぷりと甘くて冷やかな手触りのメロディーは、まったく独特の感覚である。また、2楽章のオーケストラの導入部において、童話に出てくる森のような幽玄さを醸し出せるのは、グリーグをおいて他にいないのじゃないだろうか。そういう意味で、これはまったくユニークな音楽だし、いろいろな演奏家に取り上げられてきた価値があるし、これからもそうである。
リヒテルの力強いピアノに、マタチッチの野太く多彩なオーケストラが相俟って、豪快なのに幻想的な味も濃厚な仕上がり。不思議な演奏で、曲の奥行きの深さを改めて思い知らされる。
1974年11月25-30日、モンテ・カルロでの録音
墓地の桜。
昨年の今頃は、蕾の奥にピンク色を覗くことができた。
今年は、少し遅いのかもしれない。
携帯の写真だと小さくてよくわからないけど、真ん中は東京スカイツリー。
完成時の高さに到達。
鴬谷の陸橋から。
いつもより本数は少ないけど、がんばって走っているよ。
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