ヴァルチュハ指揮読売日本交響楽団のマチネーコンサートに足を運びました(2024年5月26日、東京芸術劇場大ホールにて)。
リャードフの「魔法にかけられた湖」は、以前セルの指揮によるCDを持っていたけれど、どんな曲かうろ覚えでした。
こうして生で聴くと、全曲を通して動きは少ないものの、凛とした緊張感を湛えており、じつに清冽な音楽だと感じました。演奏も優れていたと思います。
ハチャトリアンもまた生聴きは初めて。1楽章はヴァイオリンが、やや速めのテンポでぐいぐいとオケを引っ張っているように感じられ、濃厚な推進力がありました。
やや退屈な2楽章(たぶん曲のせい)を経て最終楽章は、たっぷりとした生気のある演奏。ラストは華やかに締めくくられました。
ソロのアンコールは「アルハンブラ宮殿」。なんと味わい深いこと。
いままで「悲愴」を実演で何度か聴きましたが、今日のものに一番感銘を受けました。
下手な言い方をすれば、森を眺めつつ木を手当する、という感じ。細かいテンポの揺れや強弱のつけかたもなかなかだけど、全体の流れが太くて逞しい。3楽章は踊りたくなるようだったし、4楽章のひんやりとして淡い情感は胸に響きました。
ヴァルチュハ、これから注目したい指揮者です。
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