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大作家"ろくでなし"列伝、ザイフェルト、モーツァルト「ホルン協奏曲」

2011.10.23 - モーツァルト
   
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モーツァルト ホルン協奏曲集 ゲルト・ザイフェルト(Hr) カラヤン指揮ベルリン・フィル


福田和也の「大作家"ろくでなし"列伝」は、古今東西の作家24人の代表作と人柄の一端を評した読み物。
なかでも特に、バルザックの項が印象的。「谷間の百合」から、女性の扱い方についての孫引き。
「こうした人生の春も、またたくまにすぎてしまうのです。ですからよく心して、この時期を充分活用するようになさいませ。そのためにはなんと言っても、ちからのあるご婦人たちとしたしくおつきあいをなさるのがいちばんです」
「信心にこりかたまってでもいないかぎり、齢とったご婦人たちには、ひとのうしろだてになることがこの世での恋のしおさめなのです」
今となってはありがちな話であるが、当時は新しかったらしい。この処世術通りに振る舞った主人公は大成功を収めるが、のちに苦いしっぺ返しを受ける。


モーツァルトのホルン協奏曲に、苦みは求めない。甘くていいじゃないか。
ザイフェルトとカラヤンによるモーツァルトは、想像通り厚みのたっぷりとした演奏。
このCDに収録されているホルン協奏曲集は、2番から4番はいずれも急-緩-急で構成されているが、1番だけは急-急となっていて、楽章のつながりが希薄だ。別の曲を繋げ合わせたような感じで、まとまりはよくない。
といいつつ、このCDでは1番の演奏が最も面白い。
こってりとしたホルンと、これまた重厚なオーケストラがバランスよくかみ合っていて、ボリューム感がある。ヴァイオリンをポルタメントで弾かせているところがあったりして、ちょっとした洒落もきいている。


1968年8月、サンモリッツ、サル・ヴィクトリアでの録音。
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Comment

作家は”ろくでなし”と相場が決まっていたかも - yoshimi

「大作家"ろくでなし"列伝」、とても面白そうですね!
ずっと昔は、作家などは、”かたぎ”の商売ではなかったはずです。
作家になるなんていうと家族が猛反対した..なんて話は良くあります。
今では、作家はなぜか憧れの職業の一つのようです。ノーベル賞文学賞候補と言われているのが村上春樹だったりするので、余計にスタイリッシュというか華やかな職業のようなイメージが...。
歴史に名を残すような大作家が少なくて小粒になってしまったように思いますが、”普通”の職業になってしまったせいかも。
さすがに、日本の純文学の大作家は、作品もさることながら、人となりも凄いですね。
割腹自殺した三島由起夫は思想的に特異なものがありましたが、この本の紹介文をいろいろ読んでいると、それに負けず劣らず、常人にははかりしれない人格の作家ばかり。
こんな面白そうな本は、ぜひ読んでみなくては。
ご紹介ありがとうござました。
2011.10.26 Wed 12:36 [ Edit ]

まともに勤められないから? - 管理人:芳野達司

yoshimiさん、こんにちは。
作家が語るには、会社勤めができないから、もしくは、朝起きるのがいやだから作家になった、なんてことをよく言っています。それはある意味本当かもしれませんが、作家として食っていくバイタリティがあれば、むしろなんでもできるのじゃないかとも思いますねえ。
そのバイタリティが”ろくでなし”になる大きな要素ではないかと。
村上春樹は、性格的には几帳面そうだから、昔ながらの”ろくでなし”ではないようですが、ジョギングの量が尋常ではないようだし、私生活においては、けっこう奇特なヒトなのではないかな、などと邪推しています。


2011.10.26 23:18
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