ヘンデル「水上の音楽」 マギーガン指揮フィルハーモニア・バロック管弦楽団南直哉の「なぜこんなに生きにくいのか」を読む。
著者は禅宗の僧侶。出家をすることは、自殺をあきらめるのと同義だったという。普通は出家まですることはないにしても、あるところで生きることを決める必要があるらしい。
「これは苦しい決断ですが、とても大事なことだと思います。なぜなら、この決断が生きる意味を作るからです。もっと言えば、生きる意味とか生きる価値というのは、『自殺しないと決めること』『生きる覚悟を決めること』から始まるのです」
生きるのに覚悟がいるとは。読んでわかったつもりになっている。なんということだろう。20代のころは、気にしたことはなかったな。おやじっ、酒くれ!
フィルハーモニア・バロック管弦楽団による、古楽器を使ったヘンデルを聴く。
モダン楽器と再現楽器との違いが、いまひとつ判然としないことがある。古楽器のスタイルがこなれてきたのか、違いがわからぬ男になったのか。
いいまでもなく後者なわけだけど、まあ、わからなくてもいいじゃんと開き直っている。そこは気楽なジンセイである。
このマギーガンによるヘンデルも、なんというか、昔から聴きなじんだような演奏に思える。
過剰な場面は見受けられない。勢いがよく、伸びがあって、ピチピチと新鮮。やや小ぶりな編成が、切れ味のよい手触りを醸し出している。ホルンの響きなんて、とてもモダンに感じる。おおらかななかに繊細さを併せ持つ。
祝勝会の音楽として聴くつもりだった。残念。
1987年10月、1988年3月、サンフランシスコ、ローン・マウンテン・カレッジ教会での録音。
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