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レーグナーのチャイコフスキー「白鳥の湖」

2006.12.22 - チャイコフスキー
レーグナー

ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送管弦楽団/チャイコフスキー「白鳥の湖」ハイライト


クリスマス・シーズンということで、繁華街だけではなく、民家の庭や玄関口にも華やかな電飾がある。赤や青や緑でサンタクロースなどを飾った光はなかなか綺麗で、とぼとぼ歩く帰り道の目の保養にはなる。ここ数年に見られる傾向である。
しかし、なにかひっかかるのである。
省エネはどうなったのか。
何年かまえに、あれだけマスコミを通じて我々をうんざりさせた省エネは、どこへいったのだろう。
省電力の電化製品が増えてきたから、個人の光熱費には影響がないのかもしれないが、そういう問題ではないだろう。地球の資源には限りがあるのである。原油の量なんて、もはや琵琶湖の5杯分しかないのだから(それが多いのか少ないのか、ぜんぜん実感がわかないのであるが)。
無駄遣いはいかんのである。夜は暗くてよいのである。

…とかいいつつ、夜なべでパソコンを使う私。


レーグナーの「白鳥の湖」は抜粋であるが、ボニングやオーマンディのそれとは選曲が異なる。
彼らの選曲がバレエ音楽のエッセンスを凝縮させて聴きやすくしたものだとすると、レーグナーのものはバレエ音楽というジャンルから一歩離れて、純粋に管弦楽曲として聴かせようとする選曲だと思う。レーグナーの音楽は、暗い情熱に彩られている。細かな表情づけにすこしアクがあり、感情の起伏が大きく劇的で、とてもシンフォニックである。バレリーナが踊ることを前提にした、華麗でリズミカルな音楽ではない。
全部通して聴いた後の感触は、ひとつの交響曲を聴き終えたかのようなもの。手に汗をにぎる迫真感と、重厚な手ごたえがある。
ベルリン放送管は常にみずみずしい音色で耳を和ませてくれる。豪奢さではフィラデルフィアに及ばないが、ソロは朴訥で丁寧であり、合奏にはとても透明感がある。
この指揮者の意図は、「白鳥の湖」という魅力的な素材から、曲を有機的な構成感のあるように絶妙に配置することで、ハイライト版として完結しうる音楽を再構築することだったのではないかと思う。



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Comment

無題 - しじみ

こんばんは。吉田さんのご意見、激しく賛同でございます。クリスマスのイルミネーション、もはやあれはやりすぎです。とかく首都圏では。11月からあれを見せられているのでもう飽き飽きしています。地元の駅前のりっぱなイチョウの木は、葉を落とした途端、今度は真っ青な電飾に上から下まで飾り立てられて、木が気の毒に思えてしまうほどです。クリスマス商戦にはいいのでしょうが、地球には厳しいですね。
さて、バレエ音楽を「踊るための音楽」として聴かせる指揮者と、純粋に音楽として聴かせる指揮者がいるというのは面白いですね。同じ曲でもいろいろな表情が楽しめます。バレエ音楽侮るなかれ。奥が深いですよね。
2006.12.22 Fri 23:26 URL [ Edit ]

Re:しじみさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

ここ数年、冬の住宅街はきらびやかになりました。最初の頃は綺麗だなと思うこともありましたが、いささか増えすぎですね。
人間が生きている以上、地球に優しくするのも限度があるのでしょうが、ああいう無意味なはやり行為にはついていきかねます。

「白鳥の湖」は何度聴いても良い曲ですが、解釈の幅も広いようです。いろいろ個性ある演奏を楽しめて愉快です。
2006.12.22 23:38

無題 - Niklaus Vogel

吉田さん、こんばんは。お待ちしておりました、レーグナーの「白鳥の湖」のご感想!
まことにおっしゃるとおりと思います。この演奏評として、もっとも納得できるものでした。
なお、レーグナーの演奏は「くるみ割り人形」がこの「白鳥の湖」に近く、「眠れる森の美女」はいくぶん異なる世界と思えます。
クリスマスのイルミネイションに関しては、黒船来航以来の日本人のサガ(劣等感?)を見るような心もちになったりもします…。
2006.12.23 Sat 21:55 URL [ Edit ]

Re:Niklaus Vogelさん、こんばんは。 - 管理人:芳野達司

なるほど、Niklaus Vogelさんが記事にされた「眠れる森の美女」はちょっと違うのですね。そちらも聴きたいですね!
レーグナーの「白鳥の湖」でいくぶん不満を感じるのは、全体で44分と短いことです。交響曲としては標準的な長さなのかもしれませんが、どうせならベートーヴェンの「第九」くらいに詰め込んでくれたほうが貧乏性のわたしにはありがたかったかも知れません(笑)
2006.12.24 01:21
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