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ロッシーニ 序曲集 セル指揮クリーヴランド管弦楽団ロッシーニの序曲ときいて思い出すのは、村上春樹の小説の主人公がスパゲッティを茹でながら聴いていた、アバドの「どろぼうかささぎ」。曲もいいけれど、アバドのロッシーニは躍動感があっておいしい。音もいい。休日の昼にビールなぞ飲みながら聴くのは最高である。
それからなんといってもトスカニーニ盤。今持っているのは、何年か前に1000円で購入したものだが、選曲といい、モノラルながら冴えた録音といい、これ以上望むのは難しいくらい、弾んだ演奏。
そしてセルの演奏を聴いてみる。イタリア人ではないながら、同じヨーロッパ人ということは、津軽三味線を関東人が演奏するようなノリではなかろうか。違うのだろうな。そのへんはよくわからない。
ロッシーニとはいえ、セルの演奏は相変わらずキッチリしている。ロッシーニ特有のアッチェレランド、クレッシェンドの箇所ではぐいぐいとおしてくるものがあるが、トスカニーニたちとはなにか違う、堅苦しさがほの見える。
ぎこちないというか、理詰めというか、自然な勢いという感じではない。だからもうひとつ乗り切れない。
ただ、アンサンブルと個々の技量は最上なので、聴き応えはたっぷりとある。録音は少々硬い。
トスカニーニやアバドの演奏が休日の昼ビールならば、セルのは部屋でじっと飲むお茶であろうか。
そうでもないかな。PR
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