ブーレーズ指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏で、ラヴェル「スペイン狂詩曲」を聴きました(1969年7月、クリーヴランド、セヴェランス・ホールでの録音)。
この曲、ラヴェルの管弦楽曲集と銘打ったCDに収録されていることが多いからしばしば耳にするものの、今までこれといった感銘を受けたことはありませんでした。
でも、このブーレーズ盤はいい。目覚めた(笑)。
ブーレーズという指揮者について、ある評論家は「レントゲンを当てたかのような明晰」な音響作りをすると云いました。いくつかの曲を聴いて、なるほど見通しがいいなとの感じを受けたことはあるけれど、それは特段、ブーレーズだけではない。
もしブーレーズがレントゲンのような指揮者であったなら、当盤はそれを如実にあらわした演奏ではないかと。
顕著なのは4曲目「祭り」。柔らかな風を感じさせるピッコロに続いて、軽やかに転がるマリンバ。マリンバに気づいたのは、この演奏が初めて。
そこで、いくつかの異演をyoutubeで聴いてみました。ムーティ(フィラデルフィア、来日公演)、カラヤン(ベルリン、1986年)、小澤(ボストン)はあまり聴きとれない。ミュンシュ(パリ管)はわかるけど、粒立ちがいまひとつ。
たったこれだけのサンプリングではブーレーズがいかにマリンバに思いを込めているのかは比較し難いけど、他にこのような演奏はあまりないのじゃないかと推察。
活気に満ちたいい演奏だと思います。
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