トーマス・アレンのフィガロ、ムーティ指揮ウイーン・フィル他の演奏で、モーツァルト「フィガロの結婚」を聴きました(1986年9月、ウィーン、ムジークフェラインザールでの録音)。
2月新国の予習。
快速な序曲を聴いて、ムーティの世界が始まるなぁ、とワクワク。
幕が開いて、バトルのスザンナ。「コジ」ではいささか行儀の悪い女中を見事に歌っていたけれど、ここでも夢のような声を惜しみなく披露。こちらは、デスピーナよりはいくぶん上品。いずれにせよ、可愛い女中を歌わせたらバトルの右に出る人はそうそういないでしょう。
プライスの伯爵夫人は厚みがあって、匙ひと掬いの憂いがあって、奥行のある大人の歌唱を聴かせます。といっても、彼女は20代に差し掛かったばかりなのだけど(※)。
※ボーマルシェの原作上の設定では「フィガロの結婚」時点での主要な登場人物の年齢は、
アルマヴィーヴァ伯爵:24~27歳
アルマヴィーヴァ伯爵夫人:21~22歳
フィガロ:30歳
スザンナ:23~24歳
ケルビーノ:13歳
と推定される(「二期会通信」)
ファウスト博士が自分よりだいぶ年下だと知ったとき以上の衝撃(笑)。
昔の人は若くして老成していたとよく云われますが、これもその一例かもしれません。
「フィガロ」の全曲を最初に聴いたのは、エーリヒ・クライバーのLP。ちょっと古めかしいものの、典雅な雰囲気は代え難い。たまに取り出します。なので今はそれと、このムーティ盤を左右に置きたい気分です。
スザンナ:キャスリーン・バトル
伯爵夫人:マーガレット・プライス
アルマヴィーヴァ伯爵:ヨルマ・ヒュニネン
ケルビーノ:アン・マレイ
バルトロ:クルト・リドル
マルチェリーナ:マリアナ・ニコレスコ
ドン・バジリオ:アレハンドロ・ラミレス
ドン・クルツィオ:エルネスト・ガヴァッツィ
バルバリーナ:パトリシア・パーチェ
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